反面教師











もしネットがなければ、お金に困ったり、家出して寝る場所に困った子供たちはどうしていただろう。友達を頼ったり、親戚を頼ったりしていただろうか。おそらくそうしていないと思う。

追い詰められた子供たちはなぜネットに救いを求めるのか。それは彼女たちが頼るべき人間関係を持たないからではないだろうか。

子供の「不幸」の状況はさまざまであろうが、気軽に助けを求める手段がネット以外にないところに「不幸」の深刻さがあるような気がしてならない。

石川県議会は「子供にケータイ持たせない」条例を可決した。だが家出サイト、自殺サイト、援交サイトの氾濫に子供たちを取り巻く人間関係の酷薄さが垣間見えるのだが。

「泊め男」探し歩く少女たち 氾濫、家出サイト
2009年6月24日 朝刊

名古屋市の会社員ら男3人が家出した中学生を互いに引き渡し、わいせつな行為をしたとして愛知県警に逮捕された事件で、少女との出会いにも引き渡しにも、インターネットの「家出サイト」が利用されていた。ネットに詳しい専門家はこうしたサイトがネット上に氾濫(はんらん)、中には出会い系サイトが形を変えたものもある現状を指摘、警察も犯罪に巻き込まれる危険性に警鐘を鳴らす。

■メッセージ続々

「マジで行く所ないよー。ほんと誰か助けてください」「もうお金も行き場もありません。泊めてくれる優しい神待ち中です!」

家出サイトの掲示板をのぞくと、家出先を求める少女らの写真やメッセージが並ぶ。

住まいや食事を提供してくれる相手を「泊め男」「神様」と表現。「ゆか」「みき」など自分の通称名や年齢、今いる地域などが書かれる。「2日食べてません」「今日会える人」など切羽詰まったようなメッセージや、「多少の事は覚悟してます」の文言も。サイトの中には、地域別や「癒やし系」など好み別に検索できるものまであった。

■出会いの隠れみの

「実録・闇サイト事件簿」などの著書があるジャーナリスト渋井哲也さんによると、家出掲示板は10年以上前からあったが、「出会い系サイトの規制が強化されたことで、ここ数年、出会い系の業者が家出掲示板を隠れみのにするケースが少なくない」と指摘する。

友達の家だとすぐにわかってしまうし、外にいると補導される。ネットカフェもお金がかかる。「少女の方も、泊めてもらえるから多少のことは仕方ないという意識がある」

また、フリーライター今一生(こんいっしょう)さんは「30~40代の独身男性が増える傾向にあり、家出した少女を泊める受け皿になりやすい」と分析。「少女の側も次々と『泊め男』を探して渡り歩く」とも。

愛知県警少年課では「家出サイトの実態はまだまだ分からないが、少女が利用する場合は住まいの提供などといった代償として性犯罪に遭う恐れがある。異性との交際を求める利用者もおり、相手が見えない以上、命にかかわる危険性も」と強調した。



{2009年6月29日}   子供の読書離れは本当か

データからは必ずしも子供の読書量は減っていない。むしろ順調に増え続けていると言える。 ⇒ 5月1か月間に読んだ本の冊数

学校での早朝読書の取り組みなどの反映だろうね。だから子供の読書離れという説にはあまり根拠がないと思う。

それじゃ「ヒッポ文庫」になぜ子供が集まらなくなったのか。これはあくまでも想像だけど、この文庫の周辺の街の高齢化が進み、子供の数が激減しているのではないかな。

2、30年前には子供であふれていた街が今は年寄りだけの街になったと言う話はよく聞くよ。

ヒッポ文庫:少子化と読書離れ、存続危機 尼崎の水口さん、自宅に開設30年 /兵庫

◇「寂しい」

子ども向けの本の読み聞かせや貸し出しを30年以上、無料で続けてきた尼崎市東園田町8の「ヒッポ文庫」が、存続の危機にさらされている。少子化と子どもの読書離れによって文庫を利用する子どもの数が減少しているためだ。文庫を運営する水口久美子さん(73)は「遊びに来る子どもも少なくなったし、本当に寂しい限り」と話す。【中里顕】

水口さんは自らの子育て体験から読み聞かせの重要性を感じ、近所の子にも広めようと77年、自宅に文庫を開いた。毎週火曜日の午後、水口さんが一人で読み聞かせと貸し出しをしている。本は知人から譲り受けたもののほかは水口さんが自腹を切って集めた。子ども用の絵本や童話だけで2000冊以上をそろえている。

ピーク時には1日で約100人の利用者があり、読み聞かせに手が回らない時期もあったが、最近では利用者がゼロの日もあるため、開館しない時もあるという。

水口さんによると、利用者の減少が始まったのは昭和から平成へ移り変わるころ。周辺の子どもの数が急速に減少したことに加え、子どもの読書離れが顕著になってきたのがその理由だ。かつては子どもたちが文庫で周りが暗くなるまで遊んでいたというが、水口さんは「最近は遊びに来ても次の予定があるとかですぐに帰ってしまう。それに本よりもゲームとかの方に夢中みたい」と残念そう。

今、水口さんは本の処分も考えているという。「子ども同士でも本の読み聞かせをする場面があり、それを見るのが楽しみだったんですが」と話し、今後については「何とか続けていますが、これからどうなるのか」と揺れる心境をのぞかせていた。水口さん方(06・6491・9449)。



いじめは特定の学校で多いとか特定の学年で多発しているとかいえないものなんだ、ということはよくわかったよ。

ただ、この調査結果では「いじめ非経験率」の変動の幅が50~60%台と小さいので、それじゃほとんど誤差の範囲ではと突っ込みたくなってくる。この程度の数字に順位をつけたってあまり意味がない気もするし。

これだけ大規模に行われた調査なんだからもう少し突っ込んだデータが欲しかった。例えば、小4から中3の間ではどの学年でいじめが発生しやすいか。いじめ経験者は固定されているのかいないのか。いじめ発生率と遅刻や成績の平均との相関関係など。

デリケートな調査だから難しいとは思うけど、こうしたことが多角的に分析されてはじめてその原因の究明などに生かされるのではないかな。

「いじめ、どこでもどの子にも」 国立研、3年かけ調査
2009年6月26日

小中学校のいじめについて国立教育政策研究所が3年間追跡調査したところ、いじめを経験した子の比率(経験率)は同じ学校でも時期によって大きく変わり、学校間で比較した順位も頻繁に入れ替わっていることがわかった。同研究所は「いじめはどの学校でも、どのクラスでも、どの子どもでも起こりうるという見方がデータで裏付けられた」としている。

同研究所は26日、都道府県と指定市の教育委員会の生徒指導担当者が集まる会議で調査を報告。「教員が注意を払っていない子どもにもいじめは起きている」として、先入観をもたずに取り組むよう求めた。

調査は、首都圏の特定の1市の全市立小中学校(小学校13・中学校6)について、04~06年に実施。半年ごとに小4~中3の全児童生徒に調査票を配り、「仲間はずれ、無視、陰口を経験したことがない」(いじめ被害経験なし)と答えた子どもの比率と、学校別順位の変化を分析した。

例えば、A中学について04年6月から半年ごとの数値をみると、64.7%→60.5%→55.9%→55.2%→60.8%→61.2%と、約10%の幅で変化。他の中学も時期によって10~15%前後の振れ幅があった。

いじめの経験率が高い順に並べると、A中学は6位→5位→3位→1位→3位→2位と変動。他校も1位から6位まで変化が大きかった。

学年別に細分化した分析でもいじめの経験率は時期を追って大きく上下していた。学校現場では「今度入学してくる1年生は大変らしい」「3年生は問題が多い」といったことがよく言われるが、いじめに関し、一時期の数値が固定化することはなかった。

こうした全体傾向は小学校でも同様だったという。

同研究所はこうした調査を基に、教員がいじめを正しく理解しているかをはかる設問形式の自己点検シートを作成した。(上野創)



貧困と飢餓から抜け出せない人々にどんな手が差し伸べられるか。井戸?学校?

フジのテレビ番組を紹介した小さな記事だけど、こうした国の人々を前にした時のわれわれの戸惑いや無力感がうまく代弁されているような気がする。

先進国に買い叩かれても、地下資源や第1次産品の輸出に頼らざるを得ない経済構造。ODAを食い物にする政府関係者。それどころか統治機能を喪失し、部族抗争に明け暮れる政府。

アフリカの惨状はいくら強調しても足りない。かといってすぐにも効果が出るような手段を私たちは思い浮かべることができない。中野アナの立ちすくみは私たちの立ちすくみでもあるだろう。

中野美奈子レポートの波紋 エリート教育か平等か

<テレビウォッチ>FNSチャリティーキャンペーンで訪れた中野美奈子アナの最貧国・シエラレオネ共和国続報。残念ながら中野は、貧困から脱しきれないシエラレオネの現実をサーッと撫ぜて終わった。

今回、中野が取材したのは首都のフリータウンから東に200キロ離れたトンゴ。世界で最も良質のダイヤモンドが採れるところで有名だ。

そのダイヤの採掘場。といっても外国資本がとっくに機械で掘り尽くした場所で、100人ほどの少年たちがさらに掘り返し、小指の先ほどのささやかなおこぼれを頂戴する仕事に従事している。

中野が「成果あった」と聞くと、「10か月働いて1個のダイヤを見つけた。1万レオン(300円)もらった」、「1年働いて1個見つけた2万レオンもらった」。

その中の1人、きれいな英語を話す少年(13)に中野の目がとまった。小学校の成績は学年でトップ。しかし、内戦で父親は戦死、中学進学をあきらめここで働いているという。

少年は「実は中学へ行きたくて、潜って授業を受けていたんだ。でも先生に見つかり、ドロボーっていわれ追い出された」。

中野はこの取材で「この子たちを原石のまま終わらせてはならないと思った」という。

キャスターの小倉が「こういう子を立派に育てていけば、国のために非常に役に立つと思うんですが、この子だけをというわけにはいかない」と。

ただ、ニューズウィーク日本語版編集長の竹田圭吾はかなり違った視点を……

「順番からすると、貧困から抜け出すにはエリートが必要だと思う。子供たち全体を救うのではなく、この子みたいに勉強に意欲がある子供を集中的に援助した方が最終的により多くの子供が救われるかもしれない」

シエラレオネは、富の象徴であるダイヤモンド産出国でありながら、利権を外国資本に握られ、地元には関税という形で入るが、政府役人が懐に入れてしまう。

富の象徴が国民の生活に寄与しないアフリカのこの歪んだ構造は以前から言われている。

国を越えた支援の在り方についてもっと懐疑的になっていいというのが正直な印象だ。



日本の合計特殊出生率(生涯に一人の女性が産む子供の数)が1.37。だが世界には日本よりさらに低い国・地域が4つほどある。韓国、台湾、香港、シンガポールの4カ国だ。

ヨーロッパ諸国、例えばイギリスやフランスではかなり低下した時期もあったが、現在では1.8以上に回復してきている。これらと比較しても、韓国の1.19という数字は異常に低い水準だ。

4カ国(地域)はいずれも東アジアの儒教国である。教育への投資を何よりも優先するという文化を持っている。教育費の高騰が少子化圧力となっていることは否めないだろう。

世界最低水準の1・19 出生率低迷に悩む韓国
2009.6.20 10:13

韓国政府が、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供数の推定値)の低迷に頭を悩ませている。韓国統計庁によると、2008年の出生率は世界最低水準の1・19。李明博大統領は「最優先の国政課題」として少子化対策に乗り出したが、足かせとなる高額な教育費などの問題の解決法は見つかっていない。

韓国の出生率は60年代までは4以上。70年代から急激に低下し80年代には1台に。大統領府によると、少子化により20年には152万人の労働力が不足。65歳以上の高齢者1人を支える15歳から64歳までの「生産年齢人口」は、05年は7・9人だが、50年には1・4人と推定している。

出生率低下の背景には、経済的理由や女性の急速な社会進出などが指摘される。特に塾などに支払う教育費は、経済協力開発機構(OECD)の調査で世界一高い。(共同)



どうかしてるよこの知事さん。「百マス」の評価はともかく、すべてに関して押しつげがましいよね。地方分権なんて言ってるけど、自身は市町村に対してきわめて権力的だよ。

彼が当選して最初にやったことは私学助成のカットだった。「35人学級」の廃止をしつこく指示したのも彼だった。

自ら教育条件を悪化させながら、学力テストの平均点の低さが明るみに出るとこれを他人事ごとのように批判する。こうした手法はメディア的には面白いかもしれないが、大阪の教育には百害あって一利なしだろう。

橋下知事、府奨励の反復学習「やらない首長落選させて」
2009年6月23日

大阪府の橋下徹知事は23日、公立小中学校の学力向上策として府教育委員会が提唱する反復学習について「やった所、やらなかった所の情報をオープンにする。やらない所の市町村長は選挙でどんどん落としてもらいたい。それしか教育が変わる方法はない」と報道陣に発言した。

府教委は07、08年度の全国学力調査で大阪の成績が全国平均を下回ったことから、昨年秋に陰山英男・立命館小学校副校長らを教育委員に招き、百ます計算などの反復学習を奨励。だが府教委作成の反復学習用の教材を使っている公立校は小学校48%、中学校36%にとどまっていた。

橋下知事は「市町村教委が現場を指導できるかは、教育委員を任命する市町村のトップの政治責任。これを選挙で変えていくのがまさに地方分権だ」と述べた。

一方、各校での具体的な教育方法は市町村教委ごとでなく、学校長の判断で決まる。府教委担当者は「反復学習はお願いしてきたが、実践するかは学校独自の判断。市町村教委も強制できないのだが……」と当惑していた。



一種は二種、三種に比べると女性の比率の圧倒的に少なかったいわゆるキャリア官僚コース。

20%という数字は他職種に比べると物足りないが、それでも戦後の女性の進出振りを象徴する数字だと思う。

一種に限ってみると、1951年の女性の割合が2.2%。その後、漸増して平成3年にようやく8%台に。そのあたりからの女性の進出が一挙に加速した。

かつては「家事見習い」とかいって、学歴を身につけた女性でも外で働くことなく花嫁修業したことを考えると、この戦後の女性の社会進出という要因は日本の労働市場を激変させたといっても良いだろう。

国家公務員1種合格者、初めて女性が2割超す、09年度
2009年6月23日

人事院が6月23日に発表した2009年度の国家公務員1種試験の合格者は1494人で、女性が300人と20.1%を占めた。女性の割合は2008年度に続き過去最高を更新し、初めて2割を超えた。人数では2004年度の304人に次いで過去2番目に多かった。

行政、法律、経済の3区分の合格者は、女性が179人で23.7%を占め、ともに2008年度に続き過去最高を更新した。

試験の申込者数は、男女合計で前年度より986人多い2万2186人。5年ぶりに増加し、競争倍率も14.9倍と5年ぶりに上昇した。

2009年度は108校から合格者が出た。私立大学出身の合格者は321人で前年度に比べ18人減り、合格者に占める割合も0.4ポイント低い 21.5%となった。いずれも2年連続で前年度を下回った。なお法科大学院の合格者数は71人で、前年度から16人減った。公共政策大学院の合格者数は 48人と、2人増えた。



この事件は当初から不可解な点が多々あった。例えば、被害者側と加害者側の言い分が大きく食い違っていた。捜査から逮捕まで3ヶ月以上もかかっている。

ミクシーなどでの当該大学の学生による加害者への擁護発言があいついだ事も大きい。何かあるな、と多くの人は直感したのではないかな。

真相はわからないけど、最終的に被害者側が裁判に耐えられないと判断したのではないかな。

集団準強姦事件、京都教育大6人処分保留釈放 示談成立
2009年6月22日

京都教育大学(京都市伏見区)の学生6人が集団準強姦(ごうかん)容疑で逮捕された事件で、京都地検は22日、6人を処分保留で釈放した。西浦久子次席検事は「被害女性との間で示談が成立し、女性が告訴を取り下げたため」と説明した。近く6人を不起訴処分(起訴猶予)とする見通し。

同地検によると、6人側の弁護人が19日に示談を持ちかけ、22日に女性側が同意、同日付で告訴を取り消したという。集団準強姦罪は被害者の告訴が必要な親告罪ではないが、地検は、示談によって被害者が法廷で証言することが困難になったと判断したとみられる。

西浦次席検事は「事実関係を捜査したことが示談につながった」と話した。

21~25歳の男子学生6人は、2月下旬に京都市中京区の居酒屋で開かれた宴会で、酒に酔って抵抗できなくなった女性を集団で強姦した疑いがあるとして今月1日、京都府警に逮捕された。6人は「女性は抵抗できない状態ではなかった」「合意があった」などと容疑を否認していた。

6人の釈放を受け、京都教育大は「加害学生の行為は学生の本分にもとるものと認識し、猛省を促す。学生指導のあり方を早急に見直す」などとするコメントを発表した。現在、無期停学としている6人の処分をどうするかについては、今後検討するという。

同大学では、この事件についてインターネットで書き込みなどをしたとして学生4人が処分されている。大学は「教員には通常以上の高い倫理観や道徳観、人権感覚が求められる」として、全学生に特別講義の受講などを義務づけるという。



{2009年6月22日}   蓮池薫氏重い口を開く

以前から蓮池さんがどうして北での生活をもっと赤裸々に話さないのか疑問に思っていた者としてこの記事に注目した。

何度も「イムジン河」を口ずさんだと言う。「南北統一」の歌ではなく、望郷の歌として。

しかし、彼はいつしか朝鮮国民として生きる決意をしたんだと思う。家族と子供を守るために。

彼はあの時帰国した3家族のなかでも特異な存在だったと思う。拉致された人々のなかで異例の出世をした人物と記憶している。そういう意味で北朝鮮が最も信頼していた人物ではなかったか。

彼が「今は話せない」と言っているその他の真実がいつか明らかにされることを願っているよ。

蓮池薫さん「北」の暮らし語る…読売新聞単独インタビュー

北朝鮮拉致被害者の蓮池薫さん(51)が読売新聞の単独インタビューに答え、帰国後7年で初めて、拉致された時の状況や北朝鮮での暮らしぶりを語った。言葉を選ぶように振り返った「北」での生活は、家族のために望郷の思いも封印、ただ、必死に生きたというものだった。

2002年10月15日、一時帰国の形で24年ぶりに故国の地を踏んだ夜、東京・赤坂のホテルから見た景色が今も胸に残るという。マスコミのカメラを避けるため閉じていたカーテンを、深夜、妻の祐木子さん(53)とそっと開けた。眼前には、輝くばかりの夜景。前日に見た平壌の暗い夜との落差に「拉致の記憶がよみがえった」。

それは突然だった。祐木子さんと新潟・柏崎の海岸を歩いていた1978年7月31日夜。男たちに袋に押し込まれ、ボートで連れ去られた。殴られ腫れた目に柏崎の街の灯がにじんだ。「優しい光でした。が、2日後に着いた北朝鮮で見たのは、アパートの窓からこぼれる裸電球の暗い光。その差に、ああ、全く違う所に連れて来られたんだと」

「日本に帰りたい」という思いは、80年に結婚、やがて2人の子供が生まれたのを機に消し去った。「子供が少しでもまともに暮らせるようにするので精いっぱい」だったという。

とはいえ、時には心が揺れた。韓国人歌手キム・ヨンジャさんが平壌で朝鮮半島の統一を祈る「イムジン河」を歌った時のこと。鳥ならば空を飛び、南北を分断する川を越えられるのに、という歌詞に、望郷の念で涙腺がゆるんだ。自分もギターを手に、何度も「イムジン河」を口ずさんでは心を慰めた。「でも(北朝鮮の人は)南北の統一を願っているとしか思わなかったでしょう」

誰にも理解してもらえぬ孤独――。平壌で公衆電話を見つけ、思わず受話器を取り、ダイヤルを回した時にも感じたことだった。「もちろん、かける相手はいないし、日本に通じるはずもない。なのに、私が秘密の電話をしていたと密告されてしまった」

生きることに努力が必要だった。米の作柄が悪ければ、配られる穀物の9割が雑穀になる。冬場の貴重な食料のキムチは、一家4人で毎年1・4トン漬けた。停電が続けば山で薪を拾った。

だから帰国後は、何にでもチャレンジできるのがうれしかった。市役所に勤めたが、05年5月には韓国小説「孤将」を訳して翻訳家デビュー。新たな道を選んだ背景には、子供たちへの思いがある。「私は韓国語ができる。『北』での暮らしを空白にせず、負も生かす道があると教えたかった。『北』で生まれた自分を否定するな、とも」。誇らしげな父の顔になった。

拉致問題への世間の関心が低くなっていることに不安を覚える。どうすれば世論を喚起できるか。答えの一つが取材を受けることだった。24日には拉致への思い、北朝鮮での生活などをつづった手記「半島へ、ふたたび」(新潮社)を出す。

「まだ話せないことがある。けれど、話せると判断したことは話していく。被害者として何ができるかを考え、残された人が一日も早く帰れるよう努めたい」(村田雅幸)
(2009年6月20日14時36分  読売新聞)



この記事を読んで「横恋慕」という言葉を思い出した。手の届かないところにいる人への恋心はいっそう募る。彼を突き動かした衝動はわれわれの想像をはるかに越えていた。

この殺人犯の少年はこれまで女性との付き合いの経験が少なかったのではないかな。女子生徒の何気ない一言がひょっとしたら少年の心を燃え上がらせてしまったのかもしれない。

ここまではどこにでも転がっている話だけれど、殺人という結果になってしまったことが悲しいね。

【衝撃事件の核心】女子生徒めぐり2人の男子生徒に何があったのか 大阪・富田林の高1殺害
2009.6.20 08:00

大阪府富田林市新堂の石川河川敷で、私立高校1年、大久保光貴さん(15)=同府河内長野市南花台=が殺害された事件。知人の女子高生を巡るトラブルが原因とみられ、逮捕された公立高校3年の少年(18)は「女子高生を困らせる大久保さんが許せなかった。助けてやるためには大久保さんをこの世から消すしかないと考えた」と供述している。事件2日前に初めて会ったばかりの大久保さんの頭を、凶器のバットが折れるほど集中的に殴り付けた強い殺意がなぜ芽生えたのか。関係者は首をかしげるばかりだ。

不意打ち

「頭を狙ったのは急所だから」

富田林署捜査本部が殺人と死体遺棄容疑で逮捕した少年は調べに対して、こう供述した。大久保さんを確実に殺害することを狙っていたことをうかがわせる。

少年は11日に大久保さんに携帯電話のメールで「相談を受けている女子高生のことで話をしよう」と呼び出した。午後7時半に富田林市の近鉄長野線富田林西口駅前で待ち合わせし、少年の自転車に2人乗りして現場に向かった。

「心理テストをしよう」。少年の言葉巧みな誘いに乗って大久保さんは目を閉じた。少年はかばんに隠していた木づちを取り出し、座っていた大久保さんの頭部を殴打した。ぐったりした大久保さんをコンクリート製護岸から川にけり落としたところ、大久保さんは意識があり起き上がろうとしたという。少年はこのときのことを「怖くなったので、さらに殴った」と供述。木製バットが2つに折れるほどの殴り方だったようだ。

護岸から約1メートル川に入った浅瀬で見つかった大久保さんの遺体の頭部は数カ所が陥没骨折していた。死因は脳挫傷。腕などには抵抗した際にできる傷がなく、一方的に殴られたとみられる。ある捜査員は「完全な不意打ち。自分が殺されるとは思いもよらなかっただろう」と話した。

バットに焦げた跡

少年は犯行当日の夕方に制服姿のまま、富田林市内のホームセンターで木づちとライターを購入した。木製バットはあらかじめ現場の河川敷の草むらに隠していた。ライターを買った理由については「返り血を浴びた衣服を焼こうとした。木製の凶器を使ったのは焼くためだった」と供述。証拠隠滅を図ろうとする周到さがうかがえた。

しかし、ライターだけでは火力が足りず、凶器を焼却することはできなかった。バットには焦げた跡があったが、血をウエットティッシュでふき取ってその場に捨てたという。木づちは血が付いたシャツと一緒に自宅近くポリ袋に入った状態で見つかった。シャツに焼いた跡はなかったという。

また、少年は大久保さんの携帯電話2台を持ち去っていた。メールの一部を消去し、証拠隠滅を図ったとみられるが、捜査員は「大久保さんと彼女とのやりとりを見たかったのではないか」と推測する。

交際断られる

少年は中学卒業時のアルバムであどけない笑顔を見せていた。バレーボールを抱え、髪を立てたさわやかなスポーツマンという印象。少年が抱いた強い殺意に驚く同級生たちは少なくない。

少年と同じ高校に通う男子生徒(18)は「けんかというけんかをしたことがなかった」。小学校時代からの友人の男子生徒(17)は「普通の子だった。不良グループと付き合うこともなかったはず」と首をかしげた。

少年は大久保さんの交際していた女子高生と4月に知り合った。少年は「女子高生から大久保さんのことで相談を受けるうちに好きになった」と供述。少年は5月に交際を申し込んだが断られていた。

少年と同級生の男子生徒(18)は「約1カ月前に告白して振られたけれど、しつこくつきまとったために、大久保さんから『いい加減にしろ』と怒られていた」と話す。

少年は女子高生から「もうかかわらないでほしい」とメールを受けたが、事件2日前、逆に少年が大久保さんに「彼女を束縛するな」と抗議。少年と大久保さんはこのとき初めて顔を合わせた。初対面の相手を殺害してしまうほどの憎悪とは何だったのか。捜査本部は少年の心の闇の解明を急いでいる。



など