【外信コラム】イタリア便り 結婚より同棲
2009.7.5 03:46
昔、「結婚は人生の墓場である」と喝破した賢者がいたそうだが、こんな言葉は昔の賢者より利口な今の若者たちには通用しない。
「結婚とは生涯破棄できない男女の神聖なる契約」と教えるカトリックが社会に強い影響力を持つイタリアでも、離婚が法律上不可能に近かった時代ならともかく、現在ではこんな言葉は過去の遺物である。
今のように、法的に離婚が簡単な時代になると「結婚してうまくいかなければ離婚すればよい」し、もっと賢明な若者たちは「結婚生活がうまくいくかどうか試しに同棲(どうせい)してみよう」と考える。「同棲」の言葉に反モラル的ニュアンスをくみ取るような人は残念ながら「反動」とか「時代錯誤」とののしられかねない。
実際、最近の統計によると、男女が初めて一緒になる形態は、米国では50.3%が、英・仏・独およびスカンディナビア諸国では50%が「結婚」ではなく「同棲」であるという。
保守的な国と考えられてきたイタリアでも、現在同棲中の男女は63万人と10年前の倍だ。
この結果、2006年の結婚数は人口1000人当たり4.1件とヨーロッパ平均の4.9件をも下回ってしまった。
「同棲」が女性にとって不利と思われたのは昔のことで、女性の3人に1人は「結婚より同棲」と答え、2015年には同棲件数が結婚件数を上回ると推定される。
今や昔の賢者は失格だ。(坂本鉄男)