「小一の壁」越える試み

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【こども】働く母親 交代で子育て “午後6時の壁”クリア

2010.1.20 08:21

小学校に入学した途端、通っていた保育園より学童保育が早く終わる。共働き家庭や一人親が仕事と育児の両立に困るのが「小1の壁」。この壁を乗り越えようと、東京都大田区に住む働く母のグループが悩んだ末にたどり着いたのは「交代で育てる」自助の道だった。(津川綾子)

ときには綱渡り

「ただいまー」「手洗い、みんな並んで」。午後5時半、大田区のフリーライター、宮国優子さん(39)宅の居間に宮国さんの長女(7)を含む小学1年生4人のにぎやかな声が響いた。

4人の母親は会社員や公務員など。4人とも昨年春まで午後9時閉園の東京都認証保育所を利用していた。ところが、近所の学童保育は午後6時に終わる。「仕事を急に減らせない」と母親たちは頭を抱えた。

新たな学童保育の誘致、ベビーシッター…。勤務時間をにらみつつ放課後の安全な過ごし方を模索した末、「子供も大切、しかも働きたい。それなら、できることを可能なお母さんがしよう」と宮国さん宅に子供を集め、都合のつく母親が交代で面倒を見るという形に行き着いた。

午後7時。保育園児の妹も加わり、夕食が始まった。メニューの豆乳鍋の具は宮国さん宅の野菜、肉とかまぼこは別の母親が持ち寄った。午後8時、午後8時40分…。翌日以降の食材を携えた母親が仕事を終え、続々と迎えに来る。

子供が入浴する間、コップ一杯のビールで疲れを癒やした宮国さんは「姉妹が少ない今、けんかしながら大勢で過ごし、いろいろなお母さんにしかられる。これは子供にとってプラスの経験」。こう大らかに言うが、誰が交代で子供を見るか綱渡りのようなときもある。
大きい1時間

全国学童保育連絡協議会によると、学童保育の終了時間は平均午後6時7分(平成19年)。一方、全国保育協議会の調べでは、公立認可保育園の約4割、私立認可保育園では8割近くが午後7時以降まで開所している。宮国さん宅のような自助は、学童と保育園の預かり時間の断層を乗り越える一手だ。

学童保育の預かり時間もようやく延長へと動きだした。学童保育の8割が午後6時までに終わる東京都は、来年度から午後7時以降も開所を促す制度を設ける。午後10時までの民間学童「キッズベースキャンプ」は東京・神奈川に14カ所まで広げた。午後7時に帰宅する利用者が最も多いが、「(午後6時からの)この1時間が親にとっては大きい」と島根太郎社長は話す。

来年、長男(5)が小学校に入学する品川区の女性会社員(32)は「電車で4駅離れているが、子供の安全には代えられない。同僚に迷惑をかけず、仕事を続けるにはこれしかない」と、キッズベースキャンプを利用するという。

■短時間勤務でも3割が「時間に帰れない」

母親が学童保育の終了時間に合わせた短時間勤務を利用するのはどうか。

厚生労働省が昨年、未就学の子供を持つ男女に「育児のための短時間・短日数勤務」の利用について聞いたところ、女性正社員の34・7%が「利用しやすい」と答えたが、27%が「利用しにくい」、27・2%が「制度がない」とした。

また、短時間勤務の利用経験者の約3割が「実際決められた時間に帰れない」、約2割が「責任ややりがいのある仕事ができない」と回答。制度が機能するかという職場の課題や、子育て中も仕事に力を注ぎたいとの本音が浮かび上がった。

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男性の子育て:父親たちよ!目指せ日本一!! 多彩な取り組み /大分

◇さあ、新年から楽しくやろう

総務省の社会生活基本調査(06年)で男性の子育て・家事時間が36分と全国最低だった大分県。県は「男性の子育て参画日本一・おおいた」を旗印に施策を積極展開し始めた。「最下位から首位へ」。カギは民間会社の取り組み、そして個々のお父さんの意識だが、男性の子育てグループの活動は各地で盛ん。「さあ、新年から楽しい育児を」と提案します。
◇おやじの会、大分市西の台小「ととろクラブ」 設立10年迎える

大分市立西の台小学校区で、子どもや地域のために活動する同小PTA父親部「ととろクラブ」が設立から丸10年を迎える。県外から転勤した人の中には、父親部の評判を聞いて、この校区を選ぶ人もいるという。同小を子どもが卒業してからも参加可能。父親部の活動から、男性の子育て参加を進める秘けつを探った。

年の瀬も迫る師走のある日曜日。西の台小のグラウンドに、親子や地域住民など約130人が集まった。今年最後の活動日で、清掃活動などを終えた後、みんなで餅つき。ペッタンペッタンと杵(きね)をつく父親たちをぐるりと取り囲んだ子どもたち。「僕も」「私も」とせがみ、つき上がったまん丸の餅に目を輝かせた。

ととろクラブは2000年4月、「子どもたちや地域のために何かしたい」と考えた有志が集まって設立された。01年からは校庭に段ボールで家を造って親子で泊まる「ダンボールハウスキャンプ」を開催。02年からは親子で地域の清掃活動を、06年からは父親が自分の職業を取り上げ授業を行う「世界一聞いてもらいたいおやじの授業」も始めた。
◇自分が楽しむ

現在会員は約90人。「父親自身が楽しむ」がモットーで、活動の強制はしない。異業種の人たちと、酒を交えながら語りあえるのも大きな魅力だ。同小6年の息子と中2の娘を持つ部長の県職員、玉井光秀さん(43)は「楽しんで活動している親をみて、子どもたちも『大きくなったらお父さんのようになりたい』と思ってもらえたら」と話す。

課題は、参加者が固定化され、思うように会員が増えないこと。会員はPTA会員約730世帯の8分の1だ。活動は土日が多く、休日に仕事がある人は参加しにくい。また、関心がない人に参加する意識を持ってもらうのはもっと難しい。
◇地域全体で

それでも、元部長の県職員、井上桂太郎さん(50)は「僕らの世代は、職場を超えて同世代や地域とかかわりたいという気持ちはある。子育てへの抵抗感も薄れている」と説明。同小5年の息子と高3の息子、高1の娘を持ち、「子育ては楽しい。それを女性だけに独占させるのはもったいない」と強調する。

玉井さんも井上さんも、家庭では当たり前のように、子どもの風呂の世話やおむつ替え、食事のサポートなどもしてきた。それでも「妻の負担は大きい」(井上さん)とも感じている。

では、男女が協力し、子どもを育てやすくするにはどうすればいいのか。玉井さんは「昔は地域全体で子どもたちを育てていた。そのつながりをもう一度再生しようと活動している」と父親部の意義を説明。「夫婦だけで難しければ、地域や公的機関がサポートする体制があれば」と話す。そういえばこの日、餅つきを取り仕切っていたのは地域の元気なお年寄りだった。【高芝菜穂子】
◇父親部(おやじの会)

県内では、10年ほど前から、小中学校の校区単位で設立されはじめ、県PTA連合会によると、現在約160ほどあるという。PTA内の団体や、PTA外の任意団体もあり、名称に父親を冠していないものもある。大分市と別府市には、市内の父親部同士が情報交換をするネットワークがある。昨年11月には県内で、有志の父親部などにより「全国おやじサミットin大分」が開催された。今後も、県レベルでのサミットで、情報交換や親ぼくを広げる予定。連絡先は大分市おやじネットワーク(oitaoyajinet@yahoo.co.jp)
◇隙あらば娘と--記者・小畑英介(33)

08年9月17日、県教委汚職事件の取材に追われる中、長女が生まれ、初めての育児が始まった。意外と楽しいが、帰宅が連日深夜なので、かかわろうとすれば出勤するまでの朝の時間帯がすべて。「可能な時に可能な限り一緒に育児」を目指し、妻(33)任せの現状打開へ頭をひねっている。

平穏な朝は、ごみ出しに合わせ、抱っこして10分程度の散歩。朝食の後、風呂に入れる。余裕があれば絵本を読んだりするが、大体はそのまま出勤となる。夜は布団をかけ直すくらいで結局、育児時間は一日計40分ほど。「育児しているつもりが実は大したことない男」の典型例と言われても仕方ない。

仕事次第では、そんなわずかな時間もゼロに。そこで仕事の移動中におむつを買ったり、手の空いた夕方に自宅へ戻ることなどを試みている。24時間態勢で育児する妻の負担を軽減したいし、子どもにも接したい。困難な面もあるが、不規則な勤務で時間をひねり出す方法を考えるのが課題といえる。

寝込みの顔面に硬い本を落とされるなど痛い時もある。風呂場で泣きやまず、耳がキーンとし続ける午前もある。ただ、日に日に体、言葉や行動が成長する姿を目にする喜びは大きい。看病や部活動の移動など、振り返れば両親には世話をかけた。

育児日本一になれるか分からないが、今度は私が「隙(すき)あらば育児」の姿勢で、子どもにかかわる番だ。【小畑英介】

◇事業所 ユニーク休暇制度--安岐・特養ホーム「鈴鳴荘」

妻の出産に合わせた「とうちゃんがんばれ、パパ修行中」、孫の誕生時の「ばあちゃんの出番です」などユニークな有給休暇制度を持つ特別養護老人ホームが国東市安岐町にある。

社会福祉法人「安岐の郷」が運営する鈴鳴(れいめい)荘。09年春からは松寿園(同市国東町)など計4施設態勢に。鈴鳴荘には託児所もあり、職員の子だけでなく、地域住民の子もおり、同じフロアの高齢者らと日々遊ぶ。総合施設長の高橋とし子さん(54)は「職員も安心して働け、高齢者も若い気持ちを保てる。地域の方もボランティアに来て下さる」と複合的効果に胸を張る。

子育てと仕事の両立の積極支援は、04年、ベテラン女性職員が「孫の面倒をみるため退職したい」と申し出てきたのが契機。「貴重な戦力が退職せざるを得ない職場でいいのか」。自問の末、05年に独自の休暇制度を創設。学校の長期休みには子ども同伴勤務を奨励し、今年度からは幼稚園へのお迎えを勤務時間に算入している。

こうした流れを受け、「パパ修行中」(5日間)の取得例も出始めた。岩尾昌次郎さん(36)は今年5月、2子の長女胡実(くるみ)ちゃんの誕生後、18日間の育児休暇と合わせて23日間の休みを取った。早産で妻節子さん(38)に安静が必要となり、買い物や長男洋之介ちゃん(5)の幼稚園送り迎えに、助かったという。岩尾さんは施設では託児所のほか、介護タクシー業務や配食サービスにも従事。他の職員も多様な業務をこなす。お互いの仕事をカバーすることができ、休暇の取りやすさにもつながる。

一連の制度導入後、職員2人が復職し、職員の家族3人も職員になった。「働きやすい職場だからこそ、多くの人が門をたたいてくれる」と高橋さん。昨冬の「非正規社員切り」で工場を追われた10人も働く。家族のようなきずながそこにある。【梅山崇】
◇県 あの手この手で応援 本庁「パパ退庁日」設定

「男性の子育て参画日本一・おおいた」は広瀬勝貞知事が09年3月に提唱。中小企業対象に最高20万円助成する「男性子育て参加応援企業」を募り、3社が応募。社内研修や親子イベントなどを実施している。「パパの子育て後押しキャンペーン」も展開。年末からラジオのスポット広告を流し、子育て応援シンボルマークも決定。佐伯、日田、豊後大野など各地で子育てトークセミナーも開いている。

総務省の社会生活基本調査で男性の子育て・家事時間が36分、08年度末の市町村調査でも、「夫も妻も等しく子育てするのが理想」と答えた人のうち、「実現できている」は36・2%だった。05年3月に定めた5年間の次世代育成支援行動計画(おおいた子ども・子育て応援プラン)も改定中。「男性の家事・育児時間を36分から14年には105分にする」との評価指標を設ける。

一方、「まずは県庁から範を示そう」と、毎月第3水曜を「子育てパパ退庁日」に設定し、3歳未満の子どもがいる男性職員は午後3時に仕事を終える試みを09年9月から本庁で始めた。

10月までの2カ月間で対象244人中、利用したのは23人と1割に満たず、92年に始まった育児休業制度も、男性では04、06、07年に2~3カ月利用した職員が1人ずついただけ。人事課は8月に庁内アンケートを実施し、「男性の育児休暇取得を推進すべきだ」が8割に達したものの、実態がなかなか伴わないのが現状だ。県は在宅労働の7月導入も検討。あの手この手で結果を出そうとしている。【梅山崇】
◇知事 ルール、規範学ばせる父性--広瀬勝貞氏(67)

「男性の子育て参画日本一を目指す」と反転攻勢を宣言した広瀬勝貞知事(67)は「(全国最低)36分はきっかけ」と言う。「子どもの健やかな育ちには父親の参画が不可欠」。信念を実現させるのに、最も良いタイミングだったようだ。

「しっかり抱き、降ろし、歩かせるのが子育て。親子の一体感を深める母性と、ルールや規範を学ばせる父性の両方で接することが大事」と語る。現在37~25歳の4子がおり、通産省(経産省)の官僚時代も激務の中、朝食だけは一緒に取り、しっかり子の話に耳を傾けた。そうすれば妻とも子どもの話が通じ合う。いま、アンケートなどで浮かび上がるのが、子育て中の母のイライラ。悩みや思いが共有できれば、母が元気になる。それが子どものためにもなる。

「言い出しっぺの県が率先して取り組まないと、機運が広がらない」と導入した「子育てパパ退庁日」。従来からある育児休暇と合わせて利用率は低調だ。「仕事の忙しさ、家計への影響、専業主婦の多さなど理由はいろいろあれど、『休んだら職場に迷惑をかける』という意識が一番大きい。上司の理解を広げ、課単位でなく、部単位でカバーする仕組みにすれば、心理的抵抗も低くなるはず」と改善策を口にする。同じ仕事を複数の人間がこなせる態勢も考えている。

「36分」は子育てと家事の合計時間。子育てを終えた知事だが、家事は? 「私専属の家事は、自宅に来たお客さんへの酒の用意だけだが、食事中、妻からコーヒーいれてとか、果物洗ってとかいろいろ言われ、粛々とやる。皿洗いもね」 【梅山崇】

フランスの子育て支援

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【フランスの子育て支援】(上)目的は国力維持 多種多様の給付
2009.12.11 08:13

先進国はどこも少子化に悩んでいますが、フランスは政府のてこ入れで出生率に歯止めがかかった国として注目されています。子育て関連給付だけでも「家族手当」「家族補足手当」「家族援助手当」「乳幼児迎え入れ手当」など多種多様です。

フランス人は普仏戦争でプロシアに負けたのがトラウマのようで、「子供を3人以上持つことが国の持続可能性を高める」と考えています。このため、第3子優遇が明確。「家族手当」も第2子は約1万5000円、第3子からは所得制限がなくなり、額も2万円に上がります。

現地調査で30代の失業中の女性にヒアリングをしました。3人の子供がいて、「子供のおかげで政府から手厚い給付が受けられる。子供がいなかったら生活は不安だと思う」と話していました。

社会的にも「子供は公共財。社会を担う子供を育ててくれるのだから、支援は当然」という認識。税負担も大きいですが、「人口が増えれば、将来、確実に税収が上がるのだから先行投資だ」と寛容でした。

民主党の子ども手当が実現しても、日本の子育て支援は欧州に比べて依然、低水準です。ただ、私は、手当は現金よりバウチャー(引換券)がいいと思います。鳩山政権は経済効果も狙っていますが、対象が中学3年までなら、お金のかかる高校、大学に備えて貯蓄に回り、景気対策にはなりません。

子育てサービスは成長産業。バウチャー方式で保育にしか使えないようにすれば、産業育成にもなり経済が活性化します。(談 渥美由喜・東レ経営研究所研究部長)

フランスの働く女性には、高キャリアで子だくさんという人が珍しくありません。社会党の大統領候補だったセゴレーヌ・ロワイヤルさんは4人の子を育てており、クララ・ゲマール元対仏投資庁長官は8人の子だくさんです。

家族手当がどちらかといえば低所得者対策なのに対し、高所得世帯をサポートするのが「N分N乗方式」と呼ばれる税制優遇策です。夫婦の課税所得を合わせ、子供が1人なら2・5、子供が2人なら3で割り、おのおの基礎控除に当たる額を引き、累進税で税額を出します。同じ所得なら子供が多いほど税負担は少ないので、「独身課税」とも言えます。日本の扶養控除方式に比べても、高所得者にメリットが大きい仕組みです。

石油系会社勤務の夫と製薬会社勤務の妻というご夫婦に取材しました。養子も含めて8人を育てていて、世帯収入は5000万円超ですが、「課税されない」と言っていました。

子供が8人と聞くと驚きますが、社会的な立場の高い人は子育てを現役世代の義務と考えています。そういえば、米国のリチャード・アーミテージ長官も、アジア系・アフリカ系などの養子も含め10人くらい子供を育てていましたね。「子育ては社会的な責務だ」と話しているのを読んだことがあります。

背景には、低所得の人だけが子だくさんなのは望ましくない、社会で活躍する能力の高い人にはたくさん子供を産んで育ててほしいという考え方があるようです。それがひいては国力につながると考えているのです。(談 渥美由喜・東レ経営研究所研究部長)

フランスでは、企業の子育て支援への税制優遇も顕著です。保育所の設置をはじめ、社員が保育ママや家事代行サービスを使った場合、企業がバウチャー(引換券)を出せば法人税額控除の対象になります。

「トタル」という世界第4位の総合石油会社では、1億5000万円かけて企業内保育所を整備しました。このうち8割が法人税減税で戻ってきます。事業運営費の6割分も減税されるので、企業にすれば「法人税を納めるよりは子育て支援をした方がいい」ということになります。

フランスではここ15年近く、ベビーブームが続いています。パリなどの大都市では、保育園に入れない3歳未満の待機児が多く、父母が困っているのが現状です。

トタルでは「保育所を作ったおかげで、男性も女性も、すごくいい人材が転職してきた。こういう人が採れただけでも初期投資は回収できた」と話していました。

トタルは優良企業なので、日本ならこうした施策は「金持ち優遇」とか、「民間企業に公費を入れるのか」と批判されるかもしれません。そう話したら、「社会貢献の意識が低いのでは」と言われてしまいました。子供はあくまでも公共財という感覚なのです。

企業の子育て支援を国がサポートすることは、会社に一歩を踏み出させる効果があります。子育て支援に取り組んでみると、企業は人材確保につながることに気付く。その誘い水になると思うのです。(談 渥美由喜・東レ経営研究所研究部長)

フランスの子育て支援

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【フランスの子育て支援】(上)目的は国力維持 多種多様の給付

2009.12.11 08:13
先進国はどこも少子化に悩んでいますが、フランスは政府のてこ入れで出生率に歯止めがかかった国として注目されています。子育て関連給付だけでも「家族手当」「家族補足手当」「家族援助手当」「乳幼児迎え入れ手当」など多種多様です。

フランス人は普仏戦争でプロシアに負けたのがトラウマのようで、「子供を3人以上持つことが国の持続可能性を高める」と考えています。このため、第3子優遇が明確。「家族手当」も第2子は約1万5000円、第3子からは所得制限がなくなり、額も2万円に上がります。

現地調査で30代の失業中の女性にヒアリングをしました。3人の子供がいて、「子供のおかげで政府から手厚い給付が受けられる。子供がいなかったら生活は不安だと思う」と話していました。

社会的にも「子供は公共財。社会を担う子供を育ててくれるのだから、支援は当然」という認識。税負担も大きいですが、「人口が増えれば、将来、確実に税収が上がるのだから先行投資だ」と寛容でした。

民主党の子ども手当が実現しても、日本の子育て支援は欧州に比べて依然、低水準です。ただ、私は、手当は現金よりバウチャー(引換券)がいいと思います。鳩山政権は経済効果も狙っていますが、対象が中学3年までなら、お金のかかる高校、大学に備えて貯蓄に回り、景気対策にはなりません。

子育てサービスは成長産業。バウチャー方式で保育にしか使えないようにすれば、産業育成にもなり経済が活性化します。(談 渥美由喜・東レ経営研究所研究部長)

【フランスの子育て支援】(中)高所得・子だくさんほどメリット
2009.12.18 08:00

フランスの働く女性には、高キャリアで子だくさんという人が珍しくありません。社会党の大統領候補だったセゴレーヌ・ロワイヤルさんは4人の子を育てており、クララ・ゲマール元対仏投資庁長官は8人の子だくさんです。

家族手当がどちらかといえば低所得者対策なのに対し、高所得世帯をサポートするのが「N分N乗方式」と呼ばれる税制優遇策です。夫婦の課税所得を合わせ、子供が1人なら2・5、子供が2人なら3で割り、おのおの基礎控除に当たる額を引き、累進税で税額を出します。同じ所得なら子供が多いほど税負担は少ないので、「独身課税」とも言えます。日本の扶養控除方式に比べても、高所得者にメリットが大きい仕組みです。

石油系会社勤務の夫と製薬会社勤務の妻というご夫婦に取材しました。養子も含めて8人を育てていて、世帯収入は5000万円超ですが、「課税されない」と言っていました。

子供が8人と聞くと驚きますが、社会的な立場の高い人は子育てを現役世代の義務と考えています。そういえば、米国のリチャード・アーミテージ長官も、アジア系・アフリカ系などの養子も含め10人くらい子供を育てていましたね。「子育ては社会的な責務だ」と話しているのを読んだことがあります。

背景には、低所得の人だけが子だくさんなのは望ましくない、社会で活躍する能力の高い人にはたくさん子供を産んで育ててほしいという考え方があるようです。それがひいては国力につながると考えているのです。(談 渥美由喜・東レ経営研究所研究部長)

「赤ちゃんポスト」に2年半で51人

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赤ちゃんポスト、2年半で51人 「国の母子支援必要」
2009年11月26日

さまざまな事情で親が育てられない赤ちゃんを匿名で預かる慈恵病院(熊本市)の赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」の実態を分析し、課題を話し合う熊本県の検証会議は26日、最終報告を発表した。07年5月の開設以降、全国から当初の想定を上回る計51人(今年9月末現在)の乳幼児が預けられており、匿名性に懸念を示す一方、県境を超えた母子支援が必要として、国に対策を求めている。

最終報告によると、約2年5カ月間で、生後1カ月未満の新生児43人、生後1カ月以上~1年未満の乳児6人、生後1年以上~小学校入学前の幼児2人が預けられ、病院側が想定した「年に1人あるかないか」を大きく上回った。

51人のうち、39人は親の居住地が判明しており、九州・沖縄13人、関東11人、中部6人、近畿4人など。熊本県内はゼロだった。母親の年齢は20代が21人、30代が10人、10代が5人、40代が3人。

預けた理由は、生活保護世帯など生活困窮が7人。戸籍に入れたくない(8人)、不倫(5人)、未婚(3人)、世間体を気にした(3人)などのほか、強姦(ごうかん)で妊娠させられたと訴えた母親もいた。

預けられた子どもの多くは乳児院や里親の家庭で暮らすが、7人は実の親らが思い直して引き取った。親が不明なままの13人は、熊本市が戸籍を作り名前をつけたという。

検証会議は、「都道府県を超えた広域的な問題。国の関与が望まれる」とし、母子を保護するシェルターを各都道府県に1カ所程度整備し、出産や子育てに関する相談体制を充実させることが必要と提言している。

「ゆりかご」の匿名性については「顔の見える相談手続きを忌避させ、倫理観の劣化が懸念される状況も見られた」などと懸念を示し、「極力、匿名性を排除する努力が必要」と求めた。

一方で、慈恵病院が相談業務と一体で運用し、7割強の子の親が判明したことや、妊娠・出産で悩んで追い詰められた親が考え直す余裕を持てた例もあり、「全体的には、多くの生命がつながったと考えられる」と評価もした。

26日に記者会見した柏女座長は「『ゆりかご』がなければもっと悲惨になっていただろうという事例から、(妊娠・出産を)なかったことにしたいという倫理観の崩壊した事例まであった。国民全体の問題として検討する必要がある」と述べた。(岡田将平)

待機児童急増中

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【解説】保育所待機児童の解消 増設へ財源確保が急務

保育所の待機児童が今年度、昨年同期比で3割も増え、2年連続の増加となった。働きながら子育てしやすい環境づくりのため、保育所整備に思い切った財源投入を望みたい。
(生活情報部 上田詔子)

要約
◇高まる保育需要の適切な把握と、保育所増設に必要な財源の確保が急務だ。
◇一定の質が確保された認可保育所の整備を基本に据えるのが望ましい。
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厚生労働省が先月まとめた調査によると、施設や職員数が国の基準を満たす認可保育所が満杯で入れない待機児童は、4月時点で2万5384人。増加率は過去最大。不況や育児休業の普及で共働きが増えたことが背景にある。

全国の市区町村で最多の、1290人の待機児がいる横浜市。就学前の児童数は5年前をピークに減っているが、待機児は07年度から増えた。市は保育所の定員を5年間で1万人以上増やしたが、今年度、待機児は昨年度の1・8倍に急増。市の担当者は「さらに定員を1000人以上増やすが、それでも足りないだろう。運営費など財政的な問題も大きい」と頭を抱える。

「これまで国や自治体による保育所の需要予測は甘く、予算上の優先順位も低かった」と指摘するのは、「保育園を考える親の会」代表の普光院亜紀さんだ。「女性の就労意欲の高まりや、生活防衛のため共働きを選ぶという意識の変化に鈍感だった」と手厳しい。

少子化で将来の需要予測が難しいとして、保育所増設に二の足を踏む自治体は多いが、認可保育所については、待機児数をはるかに上回る潜在的な需要がある。保育所が利用できないために求職活動もできず、就労を断念する親は多い。

厚労省が昨年実施した就学前の子を持つ親に対する調査(12万人が回答)では、3歳未満の子がいる世帯のうち「認可保育所を利用していないが1年以内に利用したい」と答えた世帯は18%、3歳以上では7%あった。昨年10月の就学前の子どもの数をもとに計算すると、計85万人に上る。

政府の地方分権改革推進委員会は今月、認可保育所の設置基準を自治体の判断で独自に決められるよう見直しを促した。しかし、規制緩和で保育の質の低下を懸念する声は強い。白梅学園大の汐見稔幸学長は「次世代育成のため国の責任で、一定の質を保証した認可保育所を増やすことを基本にするべきだ」と強調する。

保育や就学前教育への公費の支出が国内総生産に占める割合(05年)は、スウェーデンが1・47%、フランスが1・19%で、日本は0・32%。汐見学長は「欧州諸国のように、乳幼児期の保育、教育に社会全体で取り組むという観点で財源を投入すべきだ」と訴える。

衆院選で民主党は、「認可保育所の増設」を公約に掲げたが、財源は明らかでない。厚労省は2017年度までに100万人の利用者増を目指すとしているが、こちらも肝心な財源のめどはたっていない。

働きながら子育てできる環境が整わず女性の労働市場参加が進まない場合、日本の労働力は2050年に06年の3分の2以下に落ちるとの試算もある。

子ども手当の給付だけでなく、質の高い保育を多くの人に提供するため、早急な対策が求められる。
(2009年10月14日  読売新聞)

甘い菓子は子育ての敵

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チョコ食べた子供は暴力的な大人に? 英カーディフ大調査
2009.10.7 09:19

チョコレートなどの甘い菓子を毎日食べる子供は、成人してから暴力的になりやすいとの研究結果が発表された。すぐに満足感を得られることが衝動的な行動を助長するためという。

英カーディフ大学の研究者らによると、10歳の時にこうした菓子類を毎日与えられた子供は、34歳までに暴力行為で有罪となる可能性がより高かった。研究結果は英王立精神医学会の学会誌10月号に掲載される。

同医学会によると、小児期の食生活が成人後の暴力性に与える影響の調査結果は初めてという。他の研究には、食品添加物と小児の過活動の関連性を解明したものがある。

今回の研究の中心となったサイモン・ムーア氏は9月30日、電話インタビューで「子供に菓子を持続的に与えると、衝動的になり、欲しい物を攻撃的手段で入手しようとする傾向を生む可能性がある」と説明した。

2つの集団を比較する1970年の研究を通じて選ばれた約1万7500人が今回の研究に参加した。70年以降、数回のデータ集計され、対象者の健康状態、教育、社会的・経済的状況と甘い物の摂取について、5、10、26、30、34、42歳の各時点で追跡調査された。

研究者によれば他の条件を考慮した場合でも結果は同じだった。条件には5歳時の家庭での行動と母親の状況、教師の評価による10歳時の攻撃性と衝動性、描かれた絵や言葉の習得から判断した5歳時の知能などを用いた。

34歳までに暴力性がみられた調査対象者の69%は、子供時代にチョコレートなどの甘い菓子類をほぼ毎日食べたという。ムーア氏は資料で「子供に甘い物やチョコレートを恒常的に与えると、欲しい物を手に入れるのに待つことを学ばなくなる」という説明が有力だとした上で、「満足感を後回しにできないため、非行との強い関連性が指摘される、より衝動的な行動にかき立てられる可能性がある」と指摘した。

研究によると子供の食生活改善の目標を定めることが健康促進と攻撃性を和らげることにつながるとしている。

(ブルームバーグ Albertina Torsoli)

配偶者控除・扶養控除の廃止の影響は大きい?

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所得税の国際比較2009年

【経済ニュース】 【この記事に対するコメント】 Y! V 2009/10/13(火) 12:30
「日本は税金が高い」という声をよく耳にしますが、実際にはどれくらい高いのでしょうか? 今回は特に、みなさまの関心が高い、個人の所得課税について国際比較をしてみましょう。

■所得税の最低税率 → 日本5%
米国10%、ドイツ15%、英国20%

■所得課税(所得税+住民税等)の最高税率 → 日本50%
米国45%、ドイツ47%、英国40%

個人の所得に対する最高税率が一番高いのはやはり日本でした。単純な税率比較からいえば、最低税率と最高税率の差が2倍しかない英国がもっとも頑張った人が報われやすく、最低税率と最高税率の差が10倍の日本がもっとも低所得者に優しい一方、高所得者に厳しい累進課税となっています。そのため、日本では頑張っても勤労所得だけで富裕層にのし上がるのは非常に難しいといえるでしょう。

■子育て世帯負担軽減率 → 日本59%
米国49%、ドイツ57%、フランス54%

夫婦子2人の子育て世帯が、単身者の所得課税負担と比較して、様々な控除によりどの程度負担が軽減されているのかを算出しました(年収700万ベースで比較)。 日本がもっとも子育て世帯に厳しいことは言うまでもないとして、意外なことに、少子化対策に成功したフランスよりも、米国が一番優遇されていることがわかりました。(米国49%とは、米国では独身の人が結婚して子供が2人できたとき、年収が不変であれば、各種控除により支払う税金がほぼ半減するという意味)。

■配偶者控除 → 日本38万円
米国約36万円、イギリス約27万円(税額控除)、ドイツ0万円

■扶養控除 → 日本38万円
米国約36万円、イギリス約32万円(税額控除)、ドイツ約80万円

民主党の政権公約「子ども手当て」の財源として、将来、配偶者・扶養控除の廃止が見込まれますが、もし、“ドイツやフランスも配偶者控除がないから日本も廃止しましょう”なんて、政治家が説明しても騙されてはいけません。配偶者控除がない国では、扶養控除が手厚く、それよりも、日本と欧州の大きな違いは、次の基礎控除の違いです。

■納税者本人の基礎控除 → 日本38万円
米国約36万円、イギリス約94万円、ドイツ約102万円、フランス約78万円

日本の基礎控除額は、特に欧州と比較して著しく少ない上に、“子ども手当てをあげるから”という理由で、配偶者控除や扶養控除が廃止され。。 じゃあ自分が頑張って稼ごうと思ったお父さんが働いても働いても世界一厳しい累進課税に希望を奪われ。。。

個人も法人も世界一高い税負担を強いられる日本が、まもなく世界第2位の経済大国の地位から陥落し、衰退の道をたどるのは当然の成り行きかもしれません。

※上記数値は、財務省HP、国税庁HPに掲載されているデータを利用させていただきました。(執筆者:為替王 編集担当:サーチナ・メディア事業部)

増える「産休切り」

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家庭と仕事の両立なるか…増える「産休切り」
2009.10.13 20:16

出産を機に女性が解雇される「産休切り」が増えている。仕事と家庭の両立を政策に掲げる民主党政権が誕生し、来年6月には子供を持つ女性により配慮した改正育児・介護休業法が施行されるが、改革は本当に進むのか。「とても時短勤務を言い出せない」「社員の意識も変えないと」。改正法施行を前に、女性と中小企業からは、期待と不安の声が聞こえる。

「自宅待機」

「会社の業績が悪化した。復職はもう少し待ってほしい」

1歳の子供を持つ横浜市の小林礼子さん(35)=仮名=は今年3月、勤務先からの電話に言葉を失った。小林さんはソフトウエア開発企業の経理担当者として約5年間勤務。2年前に出産のため産前産後休業(産休)を取得した。

出産後も育児休業(育休)を継続し、約10倍の競争率を突破して4月からの子供の保育園入園が決まったところだった。それなのに自宅待機とは-。

保育園は母親が働いていることが入園の条件。休職が続けば、入園をあきらめざるを得ない。小林さんは泣く泣く退職。現在はアルバイトをしながら子供を保育園に通わせている。

6時間勤務義務に

小林さんのような女性は増えている。

「産休後に辞めることを勧められた」「育休から復職させてくれない」。こうした相談が全国の労働局に殺到。厚生労働省によると、平成16年度に521件だった相談件数は20年度に2・5倍に跳ね上がった。

法改正はこうした女性の悩みを解消するのが狙いだ。企業はこれまで3歳未満の子供を持つ従業員に対し、一定の短時間勤務や育児費用の援助など、7項目のうち1つ以上を実施していればよかった。しかし、法改正により、希望者に対しては1日6時間以内の短時間勤務と残業免除の2項目の導入が義務づけられる。「産休切り」など悪質なケースは企業名を公表することもある。

すでに短時間勤務制度を導入している百貨店の高島屋。横浜店広報担当の横田未央子さん(41)は1日5時間の勤務で子育てと仕事を両立させる。

今年2月に約2年の育休から復帰。朝は会社員の夫と交代で長女(2)を保育園に送る。夕方は同僚より約3時間早く仕事を切り上げ、家事をこなす。

横田さんは「すでに多くの女性従業員が制度を利用しており、安心して出産に踏み切れた」と話す。

制度だけでは…

シフト制の勤務が多い百貨店では多くの従業員の要望に応える短時間勤務の導入は難しいとされてきた。しかし、高島屋では現行の育児・介護休業法が施行された3年から短時間勤務制度を導入した。優秀な人材を育成しても、結婚を機に退職する女性従業員が後を絶たなかったためだ。

制度導入後、10%以上だった女性の離職率は18年で2%にまで激減した。

しかし、高島屋のような企業は少ないのが実態だ。 従業員約50人の中部地方にある健康器具メーカー。制度を導入しているのに、最近、営業担当の女性2人が妊娠を機に退職した。

「経営的にも人員にも余裕がないうちのような中小企業では、同僚に遠慮して休みを言い出せない女性従業員が多い。法律を改正しても状況は変わらない」。同社の人事担当者(38)はこう打ち明ける。

東京大学社会科学研究所の佐藤博樹教授は「子育て支援は、企業が制度を変えただけでは進まない。子供を持つ社員を支えることの大切さを研修で伝えるなど、社員の意識を変えていく努力も必要だ」と指摘している。(今泉有美子)

フランスの子育て支援

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子育て支援 フランス 多い選択肢 出生率増
2009年8月23日 朝刊

フランスには、きめの細かい「家族手当」があり、少子化に歯止めをかける一助になっている。ただ、景気低迷の中で見直しの動きもある。

「子どもを産みやすく育てやすい国だと満足しているわ」。パリ近郊の主婦ナタリー・バレさん(35)がうなずいた。内装工の夫(35)の月給は千四百ユーロ(約十八万九千円)。ナタリーさんがベビーシッターで得るアルバイト代が、月に百八十ユーロ。「それだけだったら、とても暮らしていけない」(ナタリーさん)が、八歳から十四歳まで三人の子どもたちへの手当計四百七十四ユーロ(約六万四千円)を全国家族手当金庫から毎月受け取ることができるからだ。

年一回の新学期手当(子ども一人二百八十ユーロ)なども合わせると、家計の四割を家族手当で賄っている計算になる。夏の休暇は大西洋岸で一カ月間のキャンプを楽しんだ。

金庫によると、家族手当は第一次大戦後の人口減を受け一九三八年に始まり、第二次大戦後に本格化。第一子よりも第二子以降を優遇するのが特徴だ。

所得にかかわらず、二十歳未満の子どもが二人いる家庭には百二十三ユーロ(約一万六千六百円)、三人なら二百八十二ユーロ、四人以上いれば一人百五十八ユーロを毎月支給。中高生には一人三十四~六十一ユーロを上乗せしている。所得に応じ、出産時の手当(八百八十九ユーロ)などもある。

育児休暇も第一子は半年間に限定されているが、第二子以降は毎月五百五十ユーロを受け取りながら三年間休むか、職場に復帰してベビーシッター補助(月額百六十七~八百七ユーロ)などを受けるか選ぶことができる。

「手当の額よりも選択肢の多さが、出生率向上の理由」と分析するのは、パリ第九大学のアンリ・ステルディニャック教授(58)。

一人の女性が生涯に産む子どもの数は九〇年代に一・六人まで落ち込んだが、現行の制度がほぼ整った二〇〇〇年ごろから増加に転じ、〇六年から二人の大台を超えた。日本(一・三七人)を大きく上回り、主要国のトップを誇る。

フランス国立工芸院のミシェル・ゴデ教授(61)は「フランスにとって家族政策は福祉政策ではない。国を豊かにする経済政策だ」と分析する。

ところが、昨年秋の金融危機以来、その財源が揺らいでいる。

家族手当の総額は年間百二十億ユーロ(約一兆六千二百億円)。すべての企業が人件費の5・4%を拠出して総額のほぼ半分、残りを国と市町村などが負担しているが、景気低迷で人件費が減った結果、〇七年は均衡していた収支が〇八年は三億ユーロの赤字に転じた。〇九年は赤字が二十六億ユーロにふくらむ見通しだ。サルコジ大統領は制度改革を明言、財源にあてる税の新設などを検討している。  (パリ・清水俊郎、写真も)

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