Tag Archive: 引きこもり


2月19日 19時0分
学校や職場になじめず、自宅に閉じこもる「ひきこもり」の人たちへの支援について考えるシンポジウムが東京で開かれ、ひきこもりの状態にある大学生が推計で3万人近くに上るという調査が報告されました。
2010.2.14 22:02
社会のなかで「希望」を考える際に、希望を失った層について分析することが不可欠だ。昭和40年代半ばから現れ始めたとされる「ひきこもり」の人たちや、長期間、定職を持たずアルバイトを繰り返すフリーターと呼ばれる人たちのなかにも、「希望を持たない人」が多くいる。
ひきこもりに詳しい大阪大非常勤講師の井出草平氏(29)=社会学=は「ひきこもりの自殺のことを最近、聞くようになった」という。
ひきこもりは、いまや数十万人の規模と概算されている。昭和40年代前半に生まれた「ひきこもり第一世代」が40~45歳になった。この世代は、あと10年ほどの間に、親を次々と亡くしていく。親の年金でかろうじて生きている人たちは、親が死ぬと同時に生活の資金を失う。
ひきこもりの人たちに「親が死んだらどうする」と質問すると、ほとんどが「自殺する」「そのまま餓死する」とし、「なんとか働く」と答える人はわずかだ。すでにもう自殺者は出始めている。井出氏は「私たちはこれらの問題に本格的に向き合わなければならない」と訴えている。
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「希望は、戦争。」。フリーターの31歳の男性が平成19年、こんなタイトルで雑誌に論文を投稿し、話題になった。
「社会のゆがみは若者に押しつけられ、一生懸命まじめに働いても生活が成り立たない。不平等が固定化されている。戦争が起き、たくさんの人が死ねば日本は流動化する。多くの若者はそれを望んでいるように思う…」。論文にはそう綴られていた。
夜遅くアルバイトに行って8時間、休憩もろくに取らずに働いても月給は10万円前後。まともな就職先は新卒しか受け付けてくれない。論文には、社会に対する不満が渦巻いていた。

東大希望学プロジェクトでも、この論文は衝撃を持って受け止められ、議論になった。「戦争」というのはあまりに短絡的ととらえられたが、メンバーの中には、この論文に理解を示す若い研究者もいた。宇野重規准教授(42)=政治学=はこう語る。

「むちゃくちゃな発想だが、この不満をどこに持っていくんだというときに戦争はある種すっきりすると考えたんでしょうね。裏を返せば、現状を変えたいというエネルギーの表れでもある」

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希望は何が源泉となり、何と結び付いているのか。希望をはぐくむ土壌が示せれば、その改良によって光明が見いだせるのではないか。

希望学プロジェクトが、全国アンケートを行った結果、希望の内容と直結するものは、「仕事」が66・3%と突出して多いことが分かった。次いで、「家族」(46・4%)、「健康」(37・7%)、「遊び」(31・7%)の順。

ひきこもりやフリーターが未来を絶望視するのは、希望が仕事と結びついている限り、仕方のないことかもしれない。労働をすればお金が得られたり、人間関係がつくられたりする。仕事で能力が発揮されることで、生きがいや人間性に結び付く傾向は強い。

しかし、プロジェクトの一員である水町勇一郎准教授(42)=労働法学=は「労働にすべての力を注ぎ込む“労働信仰の魔法”にかかっている。労働を安易に希望や人間性と結び付けて語ること、それを原動力として人間や社会を動かそうとすることに危険はないのか」とこの結果に警戒感を示す。

働いて得たお金でおいしいお酒を飲みたいとか、夏休みに海外旅行に行きたいという目的自体が、働くことに没入する中で次第に見失われているのではないか。水町准教授は「日本は過労死や過労自殺など、働くことの弊害が最も深刻な形で現れている。労働に希望を見いだすことは現状を後押しする危険性を持っている」と警告している。

ニート・ひきこもりが一緒に集うマラソン、1月9日に皇居で
2010年01月01日 07:00 JST

NPO「シゴトノアトリエ」の代表、遠藤一さん。腕には自傷の痕が残るが、お話をするとどんな質問には、ちょっと考えつつ、的確なこたえが却ってきた。

【PJニュース 2010年1月1日】2010年1月9日、皇居でマラソン大会が行われる。ただしこのマラソン大会は普通のマラソン大会とはちょっと違う。「ひきこもり」や「ニート」で悩んでいる人たちやその支援者が中心となって行われるマラソンなのだ。題して「大人もニートも皇居マラソン」。主催は2007年に設立された「NPOシゴトノアトリエ」。現在はNPOと称してはいるものの、認可を受けたわけではなく、任意団体である。

その主催者である遠藤一さん(30歳)にお会いして、お話をお聞きした。

設立は2007年。自身もひきこもりになって自傷行為を繰り返したという遠藤さんの話は、現代の日本の若者が抱えるさまざまな問題をあらためて考えさせるものだった。

遠藤さんはもともと銀行員をしていた父親と専業主婦の母親のあいだに生まれた。はたから見ればごく普通の家庭のまじめな少年時代だった。家庭内の少々のゴタゴタはあったものの、なに不自由無く育った。高校を卒業後、自分で働いて食べて行かなければならない、と思い、家を出て一人暮らしを始めた。しかし困れば親が経済的に助けてくれる、という生活が続き、自分でもなにを目標にして良いのかわからず、気がつけばバイトで出て行く他は一切外に出ない、いわゆる「ひきこもり」になり、自傷行為をくりかえした。やがてバイトもしなくなる生活が続いた。

そんな生活が3年間続いた。わずかでも「外と接触しなければ」という思いで求めた出会いのなかで、自分と同じようになにをしていいかわからず、ひきこもっている仲間と出会った。その仲間がある日、自傷行為や薬の過剰摂取でこの世を去った。遠藤さんはこのとき「とにかくからだが基本だ。なんとかしなければ」と思い、空手道場に入門した。

もともと体が丈夫で運動神経も良かったのだろう、遠藤さんはそれから1年で毎月の試合に出て、10回以上の優勝経験を持つほどになった。2006年には黒帯を取得。自らの経験をもとに、同じような仲間となにかできないか、ということで2007年「シゴトノアトリエ」を立ち上げた。

いま、シゴトノアトリエは、彼自身の空手のキャリアを生かし、自身を「レンタル空手家」として、客先に出向いての空手指導をしている。また、これまでにであった仲間はここで素人にコンピュータの操作を教える「コンピュータおにいちゃん」という事業も行っている。

そしてNPOをはじめた一昨年から「みんなで新年を新しい気持ち出始める」ためにこの「大人もニートも皇居マラソン」を始めた。昨年の大会ではマスコミも取材に来るなど盛況だった。このマラソン大会の特徴はくじ引きで2名が一組になって走り、遅い人にあわせて走る、というところだ。場合によったら歩くみたいなことにもなることがあるそうだが、それは気にしない、とのこと。走りながら語り、走りながら自分を見つめるきかっけをこのマラソン大会でつかもう、ということだ。

PJは遠藤さんの話を聞いていて、先日、自身が取材したこの記事のことを思い出した。「ひきこもりはソフトな虐待」ということばが実感として伝わってくるように、PJには思えたからだ。もちろん、何事もなく平穏に暮らせる、という家族は何事にも代え難い幸福のかたちなのかも知れない。親の仕事は順調で子供は学校の成績がまぁまぁ以上であればよくて、という生活を誰もが思い描くだろう。しかしそういうところで育った「良い子」は、その心になにを持って育つのだろう?本当はそれだけでは「なにもない」人間ができるだけではないのか?それは「人間」なのか?

私たちはなにを大事にして子供を育てているのだろうか?やがて人間として一人立ちして、仕事をして他人とつながり、生きる自信を得て、困難に立ち向かう。その人生を生きていく強さはどうやって得られるのだろう?

なぜひきこもりやニートが社会問題になるほど多いのか?日本の戦後の社会が「なかったこと」にして闇に捨ててきたものを「ニート」や「ひきこもり」が、捨てられてボロボロになった心と体と命をかけて、本当は我々に知らせてくれているのではないか?このシグナルを敏感に受け取ることがなければ、やはりこの日本の社会は内側から崩れていくほか無いのではないか?

本当に大切なこととはなんだろう? 遠藤さんたちは、「ひきこもり」や「ニート」と、そうではないと言われている人たちの間に立って、双方に大きな問題を投げかけているのではないか、とPJは思った。【了】

■関連情報
●「大人もニートも皇居マラソン」 開催概要:

日時: 2010年1月9日(土)
集合場所: JR神田駅南口
参加費用: \350-
参加予定人数: 100人
必要なもの: 運動靴、走れる服装、汗拭きタオル、走り終わった後銭湯に入るのでそのためのタオル等。
雨天の場合: 次週土曜日に開催
連絡先: シゴトノアトリエ(書きホームページに連絡先があります)


大学生「ひきこもり」100人に1人? 神戸女学院大グループ調査
2009.12.6 02:00

大学生の100に1人程度が「ひきこもり」状態になっていることが神戸女学院大の水田一郎教授(精神医学)らの研究グループによる初の全国調査の推計で明らかになった。全国で、大学生約2万6千人がひきこもっている計算になる。ひきこもりは大学に入って初めて生じる割合が約8割で、高校から大学への環境の激変が大きく関与していることも判明。研究グループは、大学の教職員や相談機関が連携して支援制度を整える必要があると提言している。

ひきこもりは外部との接触を断つため、本人を調査できず、これまで全体像は不明だった。水田教授らは昨年末、ゼミや研究室で直接学生に接触する教職員ら4千人以上から、アンケートなどを行った。

調査結果によると、ひきこもり状態にある学生は全体の0・92%、数に直すと2万5728人という推計になった。教職員が学生の状態をまったく把握していないケースもあるため、さらに増える可能性もある。

男女別では、男子学生が71・1%と大半。ひきこもりに男性が多いという結果はこれまでの研究と同様だが、原因は不明だ。学年別では、1年生0・92%、2年生0・55%、3年生0・69%、4年生1・44%で、4年生が高い理由は留年などで重複していると推測されるという。

調査では、小中高での不登校の経験についても質問した。ひきこもりの大学生のうち、小中高で不登校を経験した人は16・8%で、8割以上は大学に入って初めてひきこもりになった人がほとんどだという。

その原因として、大学は中高のような朝から夕まで同じメンバーのクラスが存在せず、孤立化しやすいことが挙げられるという。研究の中心になった大阪大非常勤講師の井出草平氏(社会学)は「中高では問題のない生徒が、自由度が高く、開放的な大学で適応できなくなるのが大学生のひきこもりの特徴だ」と説明している。

調査結果は厚生労働省に報告されているが、詳細は来年春にも論文として発表される。

■ひきこもり 自室でほとんどの時間を過ごし、家庭外での交遊など社会的参加をまったく避けた状態。厚生労働省は原則的にその状態が6カ月以上という基準を設けている。他人と交わらない形で買い物など外出していても同様。要因は多種多様であり、単一の疾患や障害の概念ではないとされる。

「ニート」とはご存知のとおり、15歳以上35歳未満の仕事にも学校にも行ってない若者たちのことだ。だが、最新青少年白書でその高齢化の実態が浮き彫りになったと言う。

だけどちょっと待って欲しい。この種の議論につきものだが、「ニート」という言葉のあいまいさが問題点をぼやけさせている気がしてならない。

「ニート」と「ひきこもり」とは明らかに違う。ニートがひきこもっているとは限らないし、求職活動継続中だがたまたま仕事が見つからない状態にあるだけかもしれない。こんな人は普通にたくさんいる。例の「ポスドク」だって高学歴ニートと呼ばれていた。

たしかにニートは「失業者」と違う。失業者とは求職しているにもかかわらず仕事が見つからない人のことだ。年齢制限もない。だけど本来の意味で言えばニートはむしろ失業者に近いと私は思う。

ニートの大部分はひきこもりなどではなく、単に働く機会に恵まれていないだけ、と考えるとこれはむしろ個人の問題と言うより社会経済の問題だ。

このニュースの記事のタイトルを「失業者の高齢化」と変えてみよう。そうすると問題の実態がよりリアルに浮かび上がるかもしれない。

青少年白書:ニート高年齢化 25~34歳、6年で3万人増

小渕優子少子化担当相は3日午前の閣議で09年版青少年白書を報告した。仕事も職業訓練もしていない若者(ニート)が、08年は前年比2万人増の64万人となった。中学、高校時代に不登校だったり中退した人がニートになる傾向が強いことも判明した。白書は「さまざまな支援が必要とされているにもかかわらず(現在の支援が)ニート状態からの脱却に必ずしもつながっていない」と施策見直しの必要性に言及した。

ニートの年齢別内訳は、15~24歳(低年齢層)が26万人、25~34歳(高年齢層)が38万人。総数は02年以降、62万~64万人で推移しているが、低年齢層は02年比で3万人減ったのに、高年齢層は3万人増え、ニートとなった人が社会復帰できず高年齢化している現状がうかがえる。

今回は不登校や中退した人の調査を初めて実施。今年2~3月、04年度に高校を中退した人1595人(回答168人)と、中学で不登校だった人480人(同109人)を対象とした。現在ニート状態にある人は高校中退者の20・8%(同年代平均5・9%)、中学不登校者の16・5%(同2・3%)と、いずれも同年代平均を大きく上回った。【横田愛】

「2ちゃんねる」の人気スレッドを紹介した記事。この記事を読んだだけでも勇気をもらった気がしてきたよ。

離婚、ひきこもり、受験失敗、ニート。「家庭の崩壊」が家庭の教育機能まで奪って行く様が見事。小説とは思えない。きっと本当の話なんだろうね。

「凄い母ちゃん」の存在が徐々にこの元ニートを立ち直らせてゆく。そのエピソードが面白いようだ。

こんな話をリアルタイムで聞けるネットの住民は幸せだね。

中卒元ニート女が書くネット長編 「うちの母ちゃん凄いぞ」に感動沸騰
2009/5/ 1

中卒で元ニートの23歳女性「クズ子」が「2ちゃんねる」に書いた長編がネット上で感動を呼んでいる。本当にダメな生活を送る「クズ子」が、超人的な「母ちゃん」や周辺の人々に支えられながら立ち直っていく。その姿に、ネットユーザーたちが共感しているようだ。

時給800円のパートから部長にまで上りつめる

「2ちゃんねる」に「うちの母ちゃん凄いぞ」というスレッドが立ったのは2009年4月16日。「ちょっとお前らに母ちゃんを自慢したかったのでスレ立てた」として、「クズ子」が9歳だった頃から語りを始める。

高収入だった「オヤジ」がバブル崩壊で借金を抱え、取り立てにおびえる日々が続く。そんな家の混乱に耐えられず、「クズ子」は無意識のうちに自殺未遂をしてしまう。妹は不登校になり、「オヤジ」と「母ちゃん」は離婚。こんな展開に2ちゃんねらーたちも、「怖え」「嫌な予感がしてきた」と、最初は暗い反応だった。

そんな「葬式みたいな家」で「母ちゃん」は缶工場での仕事と家事を、「子どもを守る、という一心で」朝5時から深夜まで働いて切り盛りする。「寝るよりも出世したい」という頑張りで、時給800円のパートから部長にまで上りつめる姿が丹念に描かれている。その頑張りの理由を「母ちゃん」は「クズ子」にこう表現する。

「例えばそこに水があって、ここは砂漠で、この水を飲まなきゃ死んでしまう。でも水はひとつしかない。そんな時、母ちゃんという生き物は迷わず子供へその水を差しだすんだ」

そんな「母ちゃん」の子どもへの愛と、超人的な働きっぷりに、「とにかくすごい」「かっけぇ…」「俺も母の日になんかしよう」と徐々に2ちゃんねらーたちも心を動かされる。

「クズ子」は、高校受験に失敗してニートになってしまう。ある時は兄の貯金箱に手をつけ、ある時は「数か月くらい」ひきこもるなど、酷い生活を繰り返す。頑張る「母ちゃん」とのコントラストで、「クズっぷりが見事」「あまりにクズで言葉を失うww」といった書き込みが相次ぐ。

「ゆとり世代」を育てる方法論のひとつ?

ある日「クズ子」は「母ちゃん」と食べた寿司が「あまりに美味しかった」のをきっかけに、「お寿司食べたいから寿司屋で働いてみよう!」という単純思考でニート脱出を決意する。だが、いざ働き出すと勤務態度もいい加減で、遅刻癖もひどい。彼女を徐々に自立させるのは、「生きてる価値がないと思ったんなら、価値がある人間に変わればいいじゃない」と励まし続ける「母ちゃん」と、厳しくも優しく指導する寿司屋の「トレーナーさん」と同僚たち。ついには正社員となり、店の指揮を任されるまでに成長する。

一家族の内実を赤裸々に語るストーリーは6スレッドにも及び、「クズ子」の書き込みが終わった09年4月25日には、「毎晩楽しみにしてた!ありがとう!」「こんなに何日も張り付いて見たスレは初めてだよ」「カーチャンに少し優しくなれそうな気がする」「人生が面白いってことを再確認できたよ」などと、思い思いに心を動かされたとする書き込みが相次いだ。

このスレッドをまとめたサイト「無題のドキュメント」「ワラノート」にも合わせて700件以上のはてなブックマークがついており、好意的なコメントであふれている。「文章うまいなあ。心理描写が素直で的確だなあ」と「クズ子」の文章力を評価する声や、「自分から社会に出て行くのをひたすら「待つ」、そして励ます行程が描き出されている」と、「クズ子」の成長と、それを促す周りの人物の行動に言及するコメントも目立っている。

一方、こんな見方も出ている。ブログ「ヌルめのつぶやき」は、すぐに折れやすく、やる気もない「クズ子」が寿司屋勤務を継続できたことに注目し、「人が何を動機に行動を起こすのか」に着目したマネジメントは「ゆとり世代」を育てる方法論のひとつなのではないかと分析している。その上で、こう指摘する。

「『使えない』と諦めてしまわず、今だからこそ、『人を育てる』というのがどういう事なのかを、考え直してみてもいいのかもしれない」

学校生活に不適応な生徒は将来「ニート」「ひきこもり」になりやすい、と言いたいのかなこの記事は。たとえ事実であったとしても、ちょっと悪意を感じる表現だね。

これだけは言えるよ。誰も望んで高校中退なんかしてない。不登校になりたいとも思ってない。

彼らを救ってやれないのは、学校が力不足だからだと思うよ。具体的な対策はと聞かれると答えるのは難しいけど。

ニート:なる割合、中退者ら最大7倍--内閣府・中高生調査

高校中退者や中学の不登校経験者がニートや引きこもりになる割合は、同世代の若者に比べて最大7倍近くに上ることが、15日に公表された内閣府の「高校生活及び中学生活に関する調査」で分かった。04年度に高校を中退したか不登校になった当時の中学3年生約2000人を対象にアンケートし、中退者168人、不登校経験者109人が回答した。その結果、中退者の14・3%、不登校経験者の15・6%が、「仕事をしておらず、学校にも行っていない」とニートや引きこもりに近い状態にあると答えた。

総務省が15歳以上の約100万人を調べた「就業構造基本調査」(07年)では、仕事や学校に行かず家事もしていない割合が20代前半は5・9%、10代後半は2・3%だった。これと比べると、中退者、不登校経験者がニートや引きこもりになる割合はそれぞれ2・4倍、6・7倍の計算。【井崎憲】

深刻だけどどこか笑えてしまうニュースだね。30歳を超えた息子を「ちゃん」づけで呼んだり、出てこないからと部屋に食事を運んだり。この親はきっと30年間こどもの靴下を履かせ続けてきたんだろうな。こんな親子関係が今も社会のあちこちでひそやかに繰り返されている。ひきこもりは80%親の問題だと思うよ。

【集う】親の助(すけ)セミナー 斎藤環先生に聞く!
2009.3.18 08:00

「ひきこもり」の若者を抱える家庭は全国で41万世帯にのぼるといわれる。ひきこもり問題の第一人者である精神科医の斎藤環(たまき)さん(爽風(そうふう)会佐々木病院診療部長)にアドバイスを聞くこの会が開かれ、定員140人に対し家族や自立支援活動に取り組む人ら218人が参加した。

「いつまでも子供のように扱っている限りは自立は難しい。親の側に子離れの覚悟が必要。親から変わろう」。メモを取る参加者を前に、斎藤さんが繰り返し訴えたのはこの点だった。

30歳を超えた息子を「ちゃん」づけで呼んだり、出てこないからと部屋に食事を運んだり。わが子かわいさからいくつになっても甘やかしてしまう。だが、これは正しい愛情ではない。わが子でも親の意のままにせず“遠慮”をわきまえて接すべきだと説く。

3月7日にこの会を開いたのは若者の社会参加や就労支援などを行うNPO法人「育て上げ」ネット(東京都立川市)。同ネットの工藤啓(けい)理事長と斎藤さんとのセッションで、工藤さんが「子供がただ宙を見つめているだけで話しかけてもうなずかない」との相談を読み上げると、「ひきこもりは座敷わらしだといった人がいる。座敷わらしにハローワークに行けとは言わず、ただ話したいという態度で話しかけ続けるといずれ応じてくれる。楽観的になって」と斎藤さん。

「やる気を出させようとして『プロジェクトX』(NHKの番組)のDVDをそっと机に置く作戦」や「(若者の自立支援関連の)イベントのチラシを部屋のドアのすき間から入れる」といった試みは「本人を怒らせるだけ。言いたいことは顔を見て言いましょう」とアドバイスすると、会場が笑いで沸いた。

「まず親が変わろう」との呼びかけ通り、最初は深刻そうだった参加者の表情が、会が終わるころは少し和らいだように思えた。(津川綾子)

引きこもりのイタリア版というわけですが、貴重ですね、こういうニュースは。もっともっと海外の教育事情の真相を紹介してほしいですね。私自身は引きこもりはかなり日本的な部分があると思っていたのでイタリアのこの引きこもり君たちには新鮮な衝撃を覚えました。

イタリア:「引きこもり」目立つ 有力紙指摘「日本と類似」
◇母親と密着、過保護が原因

【ローマ藤原章生】イタリアの有力紙「コリエレ・デラ・セラ」が同国で目立つ「引きこもり」を特集した。精神科医らの証言を基に、原因を探っている。

記事(11日付)は「イタリアの引きこもり(hikikomori)、東京のよう、何年も孤立する少年たち」と題され、社会面に大きく掲載された。刀を持った日本人の少年が乱雑な部屋でくつろぐ姿をイメージ写真として使っている。

ミラノ発で、「昼は寝て、夜に冷蔵庫をあさり、インターネットと漫画だけの生活」、「過去半年、親に話したのは『ほっといてくれ』の一言」と約10人の事例を紹介。複数の精神科医が「100万人を数える日本ほどではないが、外の世界から逃れ、閉じこもる子が多い」、「頭が良く創造性があるが内向的な10代に多い」と特徴を報告。著名な精神分析医が「私が知る事例では、過去2年で5倍に増えた」とする。

要因としては「母親との密着や過保護が、自己愛の強い、もろい子にしている」、「日本では厳しい学校制度、親の過剰な期待が一因だが、イタリアでは学校で(友達)グループとの関係を築けない子の逃避が多い」とまとめている。「小さい時から、共によく遊び、時に外に一人で出し、自己評価の高い子に育てなければならない」と結んでいる。

5年間、インターネットばかりしていた男性は言葉を発せず

長期化、深刻化が目立つ 若者の引きこもり

2009年3月4日 講演に聞き入る沖縄市内の民生委員、児童委員=市産業支援センター    石川清さん  【沖縄】

第24回沖縄市民生委員児童委員研修大会が2月25日、市産業交流センターで開かれ、ノンフィクションライターの石川清さんが「長期引きこもりへの対応」と題して講演した。引きこもりの若者がいる家庭への訪問サポートを、2001年から関東地域を中心に展開している石川さんは、引きこもりの長期化と深刻化が進んでいるとし「理解も広がり、行政も支援へ取り組んでいるが、深刻なケースほど誰も引き受けず、社会から取り残されてしまう」と指摘。家族をはじめ地域や行政、医療機関などの第三者と連携して取り組む必要性を強調した。  引きこもりには、家族とのコンタクトが少ないかない「孤立・閉じこもり」、家族との交流があるが、他者・社会との交流は途絶している「引きこもり」、不就労・不就学である「ニート」などさまざまなタイプがあると、事例を挙げて説明。マニュアル通りにはいかず、個別に対応しなければならないと強調した。  引きこもる若者の特徴として「視野が狭く、完ぺき主義で一面的でしかものを見ないところがある」と話し、そういった部分を緩め、根気よく話を聞くことが大事だと指摘した。  また、3年以上引きこもると二次障害を伴うことがあるとし、人格障害や他者依存、うつ病、会話能力の未発達などになっていると説明。5年間、インターネットばかりしていた男性は、言葉を発することさえできなかったと述べた。  また、活動を通して気付いたこととして、親が危機感を持ちながら、どうすることもできず、問題の先送りや見て見ぬふりをしてしまう姿勢が引きこもりを長期化させててしまうとし、親に対するケアも同時に重要であると訴えた。