教育費、世帯年収の37% 負担割合、過去10年で最高

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家庭の年収に対する教育費の負担割合が4割近くに上ることが、日本政策金融公庫が今年度、国の教育ローンの利用世帯を対象に実施したアンケートで分かった。負担割合はこの10年で最高。景気低迷で年収が減少するなか、収入が低い世帯でとくに教育費の負担が重くなっている。
調査結果によると、世帯年収に対する小学校以上の子どもの在学費用の割合は、平均37.6%。2009年度の33.7%から3.9ポイント増。世帯の平均年収が09年度の592.6万円から572.5万円に減少した一方で、授業料や通学費、教科書代といった在学費用が増加したという。
年収200万円以上400万円未満の世帯は在学費用が166.7万円で、年収への負担割合は56.5%に上った。09年度の48.3%から大幅増で、他の年収世帯層が2~3割台なのに対し、負担の重さが顕著に出ている。年収800万円以上の在学費用は237.8万円で、年収が高い世帯層ほど教育費が高い。
高校入学から大学卒業までにかかる受験代や入学金、授業料などの1人あたりの費用は1059.8万円で、09年度から52.1万円増加した。
教育費をひねり出すため、多くの家庭が節約に取り組んでいる。三つまでの複数回答で尋ねたところ、教育費以外の支出の節約が62.4%で、奨学金(53.3%)や子ども自身のアルバイト(40.3%)による対策を上回った。節約項目は、旅行・レジャー費が61.3%、外食費が50.8%で、保護者の小遣いとの回答も41.1%に上った。
アンケートは7月に郵送で実施。2、3月に国の教育ローンを利用した世帯のうち5409世帯の回答を集計した。(井上裕一)

大阪市、生活保護急増への新対策

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2010.2.18 15:09
「コック(栓)を適正に閉める」。大阪市の平成22年度当初予算案で、過去最高を更新した生活保護費。平松邦夫市長は支出拡大に歯止めがかからない現状を垂れ流し状態の水道に例え、不正受給の防止や自立支援など制度適正化に向けた事業に18億円を計上した。生活保護世帯で育った子供が後に受給者となる「貧困の連鎖」を断ち切る“新作戦”にも乗り出す。
市によると、昨年12月現在、市内で生活保護を受給しているのは10万5474世帯、13万6617人で、市民の5.1%が受給している。22年度に計上した生活保護費2863億円は市税収入(6091億円)の5割近くに達し、この4分の1を市が負担する。
適正化に向けた事業の柱は関連職員400人の増員だ。人員不足が深刻なケースワーカーを3年の任期付き職員として242人雇用、約1100人に増やす。市長部局職員の15人に1人がケースワーカーになる計算だ。
さらに、職員の不十分な対応で受給者が自立できない“悪循環”を防ぐため、窓口での説明や調査補助にあたる嘱託職員を53人配置。国に制度の抜本改正を提案するため設置した生活保護行政特別調査プロジェクトチームでは、受給者に住居を提供して保護費を吸い上げる「貧困ビジネス」の実態調査や不正受給防止策の検討を進める「適正化推進チーム」を、現在の4人から警察OBらを加えた13人に増強する。

一方、将来的な負担軽減に向けて貧困の連鎖を断ち切る施策に取り組む。

市によると、生活保護世帯の子供は一般家庭と比べて高校進学率が低く、中退率も高い傾向にある。卒業後、仕事が長続きせず受給者となるケースも目立つという。市の担当者は「親の働く姿を間近で見てきた家庭の子供と比べると、自立心が芽生えにくい」と分析する。

市は22年度から、東住吉、浪速、西淀川、生野、旭の5区役所に社会福祉士を1人ずつ配置。受給世帯の中学3年生と高校生を対象に、ケースワーカーや学校と連携しながら進学指導や将来設計の助言などを行う。全国的にも珍しい施策で、効果があれば全区役所に拡大する方針だ。

平松市長は「市民の20人に1人が受給者という実態が、生活保護制度が本来目指すべき方向性に合っているのか。働ける人には働いてもらい、真に生活に困窮している人を保護するというあるべき姿に戻したい」と話している。

日本の一人親世帯の貧困率5割、先進国で最高

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ひとり親世帯、貧困率5割超 日本、OECD内で最悪

厚生労働省は13日、国民の経済格差を表す指標の一つの「貧困率」のうち、ひとり親世帯の貧困率が2006年に54.3%だったと発表した。経済協力開発機構(OECD)が算出した00年代半ば時点ではOECD加盟国中最悪。山井和則厚労政務官は「各国の貧困率の推移に大きな変化はなく、現在も日本が最悪」とみている。

同省は10月、06年の全世帯の貧困率(15.7%)を初公表、今回はより対象を絞って公表した。

今回の調査は3年に1度実施する国民生活基礎調査から算出。子供がいる現役世帯(世帯主が18歳以上65歳未満)の貧困率は12.2%だった。(01:40)

厚労省公表 「貧困率 日本は15.7%」

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国民7人に1人『貧困』 仕送りできず 働いても低時給
2009年10月21日 朝刊
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国民の七人に一人が貧困状態。厚生労働省が二十日初公表した二〇〇七年の「相対的貧困率」で、こんな日本の姿が浮かび上がった。貧困率15・7%は経済協力開発機構(OECD)の最新統計に当てはめると、上から四位の高水準。OECD調査で貧困層の八割を働く人が占めるのが特徴だ。 (橋本誠)

「こんなに高かったのか。でも、今はもっとひどいのでは」。昨年暮れ、栃木県の自動車工場で派遣切りに遭った男性(47)がつぶやいた。二年前は青森県でトラック運転手をしていた。「年収約二百四十万円。妻子と三人で暮らすのは楽ではなかった」と振り返る。

配送先の倒産で給料の大幅ダウンを迫られ退職。自動車工場の派遣契約も四カ月で打ち切られた。今は労働組合が借りた東京都新宿区のアパートに身を寄せ、生活保護を受けながら仕事を探す。

「仕送りができず、妻の実家にいる中学生の息子の修学旅行費が心配。資格なしでできる仕事は月給十八万円ほどだが、それすら見つからない。働きたいのに…」と焦る。

OECDが集計した二〇〇〇年代半ばの最新統計で、日本の貧困率は14・9%。メキシコや米国などに次いで四番目。中でも貧困層全体に占める働く人の割合は82・8%で、加盟国中六番目。OECD平均の62・8%、米国の72%を上回った。

首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は「細切れの雇用が広がって賃金水準が下がり、失業したときの雇用保険の受給率も極めて低い。まともに働いてもまともに食えなくなっている」と指摘する。

一方、今回調査で十八歳未満の子どもの貧困率は14・2%。〇〇年代半ばのOECD調査で、働くひとり親家庭の貧困率は58%とワーストだ。「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子理事は「時給などの労働条件が悪く、働くことが貧困削減につながらない。英国は二〇年までに子どもの貧困率をゼロにする計画を立てており、日本も貧困をなくす義務がある」と話した。

湯浅誠・反貧困ネットワーク事務局長の話 一九九〇年代以降、雇用の崩壊とともにホームレスや母子世帯など社会的に弱い立場にある人々が真っ先に貧困化した。「構造改革路線」の影の部分である貧困問題が社会問題にならず、対策も取られず、傷口は広がり続けた。政権交代を起こしたのは、年収二百万、三百万円以下で余裕のない暮らしを営む人たちの「もう我慢できない」という声なき声だ。初めての貧困率測定で、政府は貧困問題のスタートラインについた。

日本の貧困率は15.7%

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日本の貧困率、06年は15.7% 97年以降で最悪、OECDで4番目

長妻昭厚生労働相は20日、国民の経済格差を表す指標の一つとなる「貧困率」が2006年は15.7%で1997年以降で最悪の水準だったと発表した。子供の貧困率は14.2%だった。政府が貧困率を算出して公表するのは初めて。長妻厚労相は「子ども手当の支給を含めて改善策を打ち出したい」としている。

今回算出した貧困率は全世帯の可処分所得を1人当たりに換算して高い順から低い順に並べた場合に中央となる人の所得(中央値)の半分に満たない人の割合。子供(17歳以下)の貧困率は全体の中央値の半分に満たない子供の割合となる。3年に1度実施している国民生活基礎調査結果から算出。全体の貧困率は 97年が14.6%、00年が15.3%、03年が14.9%。子供の貧困率は97年が13.4%、00年が14.5%、03年が13.7%だった。

経済協力開発機構(OECD)公表の貧困率では00年代半ばの比較で、日本(14.9%)は加盟30カ国平均(10.6%)を上回り、メキシコ(18.4%)、トルコ(17.5%)、米国(17.1%)に次いで4番目に高かった。(20日 14:25)

経済格差は子供の建康格差に影響か

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広がる子どもの健康格差 病院に行けず、保健室で治療も
2009年10月1日

親の経済格差は教育格差にとどまらず、「健康格差」となって児童生徒に広がっている。治療費がなく学校の保健室で治そうとする子、健康診断で異常が見つかってもなかなか再検査を受けない子……。格差社会の広がりとともに状況は悪くなる一方だといい、現場の養護教諭らは改善を訴えるために全国の事例を集め始めた。

北海道立高校の養護教諭(41)によると、6月、体育の授業で足首をひねった2年生の男子生徒が保健室にやってきた。腫れ上がった患部を湿布で手当てし、「靱帯(じんたい)が切れているかもしれないから病院に行った方がいい」と言い聞かせた。

ところが次の日も、その次の日も「湿布はって」とやってくる。話を聞くと、生徒は母子家庭。「家には湿布なんかないし、買ってもらえない」「病院に行かなくてもそのうち治る」と言った。

保健室は本来、初期の手当てをして医療機関につなぐまでが役目だ。しかし、そんなことを言っていられない現実がある。

別の2年生の男子生徒は「頭痛がする」と言って、1年前から毎日、市販の鎮痛薬を飲んでいた。「薬ちょうだい」。そう言って、保健室にもよく顔を出す。心配で、母親に「一度検査を受けた方がいい」と手紙を出した。でも、返事はない。校医に治療勧告書を書いてもらい、母親はようやく生徒を病院に行かせた。幸い大事には至らなかったが、放っておけば脳梗塞(こうそく)を起こすおそれがある状態だったという。

この学校は、全校生徒の4割が生活保護を受けている。歯科検診では虫歯が8本以上ある生徒が1割を超え、中には20本ある子も。親は日々の暮らしで精いっぱいで、子どものころに歯磨きの習慣をつけてもらっていない生徒が多いという。

「何かあったら治療を受ける、という発想や習慣が全くない。学校を出て、この先ちゃんと暮らしてゆけるのか」

埼玉県の養護教諭(47)が勤務する県立高校も、生活保護世帯やひとり親の家庭が多い。授業料や生活費をアルバイトでまかなう生徒も多く、新入生の3分の1は初年度のうちに退学していく。

「おなかすいた」。こう言って保健室にやってくる生徒のために、この養護教諭はビスケットやアメを自腹で常備している。話を聞くと、前の日から食事をとっていない子がざらだ。体温や血圧が低く、体育の授業中、うずくまったり壁にもたれたりしてやり過ごす子も多いという。

学校の定期健診で再検査が必要になっても、生徒からまず出る言葉は「検査代はいくら?」。自己負担になる再検査では、例えば心電図だと5、6千円かかるという。再検査を促し、ようやく受診して問題がなかった生徒の保護者からは「お金が無駄になった」と苦情を言われたこともある。「お子さんのためにはよかったんです」と返すしかなかったという。

子どもたちが経済的に苦しんでいる様子は統計にもはっきり表れている。文部科学省の調査では、学用品や修学旅行費などを公的に負担する「就学援助」の対象となる小中学生は、この10年で約78万4千人から約142万1千人と1.8倍に増えた。都道府県立高校で授業料の減免措置の対象になっている生徒も、約11万1千人から約22万4千人へと倍増している。

7月に愛知県で開かれた全日本教職員組合の養護教員の会合でも、子どもたちの窮状が相次いで報告された。これまで埋もれていた親の経済状態と子どもの健康の関係について掘り起こそうと、各地の教員に報告を呼びかけている。(中村真理子)

大阪府、私学高校生を援助

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私立高授業料の全額補助1900人 大阪府、所得急減で
2009年9月20日

大阪府は18日、不況などで所得が急減した「家計急変世帯」の私立高校生の授業料を全額補助するため、10億1620万円の補正予算案を9月府議会に提出すると発表した。年収が昨年より1割以上減り、住民税が非課税となる世帯の私立高校生約1900人が対象となる見込み。今年度限りの事業とし、民主党が掲げる私立高校生への補助が予定される来年度以降については、改めて検討する。

京都府も今秋、親が失業するなどした世帯や生活保護受給世帯を対象に、私立高校生の授業料の補助制度を拡充する。全額免除を目指し、9月補正予算案に1億1800万円を計上した。

大阪府の私立高校生を対象にした現行の授業料軽減制度では、年収680万円以下の世帯に年6万円▽500万円以下の世帯に年15万円▽生活保護世帯に年35万円――などを補助している。これに加えて、今年度の府内の私立高校94校の平均授業料約55万円を上限に家計急変世帯に補助し、授業料負担を原則無くす。対象は府内在住、かつ府内の私立高校に通う生徒で、約1900人を見込む。府内の全私立高校生の2%余り。

京都府はこれまで失業世帯などに授業料の4分の3を補助していたが、府立高校の年間授業料と同額の年11万8千円を上乗せ補助する。両府とも財源には、国が09~11年度に実施する教育支援事業をあて、各高校に支給する。

民主党が総選挙で掲げたマニフェスト(選挙公約)では、来年度からの公立高校の授業料無償化にあわせ、私立高校生のいる世帯にも、所得に合わせて年24万~12万円を補助する方針としている。

大阪府私学・大学課は来年度、新政権による補助もさらに上乗せすることで、すべての低所得世帯の私立高校生の授業料を無償化できないか検討する。一方で、府財務課は「政府・与党が全国一律の補助をするなら、府独自の補助については一から議論し直す必要がある」としており、先行きは不透明だ。

京都府は、新政権が掲げる私立高校生への補助制度との兼ね合いについて、「実施時期や制度の枠組みが固まらなければ議論できない。当面は様子を見守るしかない」との立場だ。

大阪府南部のある私立高校では、今回の大阪府の補助の対象になりそうな生徒が16人いるという。副校長は「家計を支えるため、夜遅くまでアルバイトして朝、遅刻する生徒もいる。授業料の滞納も多い。とりあえず今年度だけとはいえ、補助は大変ありがたい」と期待する。

一方、大阪市内の市立中学校の校長は「中3生が進路を決める上で、授業料の補助は大きな判断材料になる。来年度の方針もできるだけ早く示してほしい」と話した。(左古将規、岡見理沙)

シエラレオネに必要な教育は何か

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貧困と飢餓から抜け出せない人々にどんな手が差し伸べられるか。井戸?学校?

フジのテレビ番組を紹介した小さな記事だけど、こうした国の人々を前にした時のわれわれの戸惑いや無力感がうまく代弁されているような気がする。

先進国に買い叩かれても、地下資源や第1次産品の輸出に頼らざるを得ない経済構造。ODAを食い物にする政府関係者。それどころか統治機能を喪失し、部族抗争に明け暮れる政府。

アフリカの惨状はいくら強調しても足りない。かといってすぐにも効果が出るような手段を私たちは思い浮かべることができない。中野アナの立ちすくみは私たちの立ちすくみでもあるだろう。

中野美奈子レポートの波紋 エリート教育か平等か

<テレビウォッチ>FNSチャリティーキャンペーンで訪れた中野美奈子アナの最貧国・シエラレオネ共和国続報。残念ながら中野は、貧困から脱しきれないシエラレオネの現実をサーッと撫ぜて終わった。

今回、中野が取材したのは首都のフリータウンから東に200キロ離れたトンゴ。世界で最も良質のダイヤモンドが採れるところで有名だ。

そのダイヤの採掘場。といっても外国資本がとっくに機械で掘り尽くした場所で、100人ほどの少年たちがさらに掘り返し、小指の先ほどのささやかなおこぼれを頂戴する仕事に従事している。

中野が「成果あった」と聞くと、「10か月働いて1個のダイヤを見つけた。1万レオン(300円)もらった」、「1年働いて1個見つけた2万レオンもらった」。

その中の1人、きれいな英語を話す少年(13)に中野の目がとまった。小学校の成績は学年でトップ。しかし、内戦で父親は戦死、中学進学をあきらめここで働いているという。

少年は「実は中学へ行きたくて、潜って授業を受けていたんだ。でも先生に見つかり、ドロボーっていわれ追い出された」。

中野はこの取材で「この子たちを原石のまま終わらせてはならないと思った」という。

キャスターの小倉が「こういう子を立派に育てていけば、国のために非常に役に立つと思うんですが、この子だけをというわけにはいかない」と。

ただ、ニューズウィーク日本語版編集長の竹田圭吾はかなり違った視点を……

「順番からすると、貧困から抜け出すにはエリートが必要だと思う。子供たち全体を救うのではなく、この子みたいに勉強に意欲がある子供を集中的に援助した方が最終的により多くの子供が救われるかもしれない」

シエラレオネは、富の象徴であるダイヤモンド産出国でありながら、利権を外国資本に握られ、地元には関税という形で入るが、政府役人が懐に入れてしまう。

富の象徴が国民の生活に寄与しないアフリカのこの歪んだ構造は以前から言われている。

国を越えた支援の在り方についてもっと懐疑的になっていいというのが正直な印象だ。

急がれる「労働法教育」

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これってすごく大事だよね。だまされない雇用契約の仕方とか。いざ首切りにあったときの対応とか。

「消費者教育」や「金融教育」の必要性が叫ばれいるけど、本当に必要なのはこの「労働法教育」だと思うよ。

パンフレットを大量に印刷して高校や大学で徹底的にばら撒く。あるいは授業や講義のなかに必須科目として取り入れる。こんな取り組みが必要じゃないかな。

労働法教育、若者にこそ POSSE代表・今野晴貴さんに聞く
2009/06/05

雇用不安が深刻さを増す中、河北新報社は「労働法を使おう!―若者が違法状態をあきらめない教育を」と題するセミナーを7月4日、仙台青葉区の本社で開く。共催する東京のNPO法人「POSSE(ポッセ)」代表理事の今野晴貴さん(26)=仙台市出身=に、労働法を使いこなせる教育の必要性を聞いた。

<企業の言うがまま>
―POSSEは雇用不安問題の打開策を提言しようと、ハローワーク前での聞き取り調査などを行っています。
「若者の使い捨てが増えています。非正規雇用者の雇い止めなどにとどまらず、正規雇用者に対しても不当な退職強要などが横行していることが、私たちの調査で浮かび上がりました」

「別の調査では、職場の違法状態に対し、聞き取りをした若者500人のうち8割近くが『何もしない』と答えました。労働法上の権利を行使せずに最初からあきらめ、企業の言うがままに職場を追われている実態を物語っています」

―今回のセミナーは「労働法」「教育」をキーワードにしています。深刻な雇用不安に向き合う際、この2つの視点がなぜ大切なのでしょう。
「日本はものすごい競争社会です。これまで教育現場では、競争を勝ち抜き、いい会社に正社員として就職することを重視した指導をしてきたのは否めません。そこから漏れた人に自己責任を問うような空気さえあります」

「実社会に出る前に、労働関係法規を学ぶ機会はほとんどないのが現実です。それでも雇用が安定していた時代は、ほころびは目立ちませんでした。それが今、非正規社員の比率が増え続け、正社員の立場もぐらつき始め、労働者が違法状態にさらされる傾向が強まっていることが露呈してきました。労働法教育の在り方を見直さないと、社会がなおさら不安定になっていきかねません」

<環境整備が第一歩>
―それを改善しないとどうなるのでしょう。
「終身雇用や年功賃金など戦後日本で続いてきた雇用の『ルール』は今やかなり崩れ、ルール不在の中で違法行為に歯止めが掛からなくなってきています。労働者の意欲もそがれ、相互の不信感が募ります。信頼して働けないようでは、豊かな社会から遠ざかるばかりです」

―POSSEは20代の若者が中心となり、雇用不安問題に向き合っています。
「私たち若者はそもそも終身雇用が前提とならない状況下で実社会に出ていかざるを得ません。雇用システムには特に敏感な世代と言えるのではないでしょうか。雇用不安の現状を嘆くだけでなく、新しいルールはどうあるべきかを率先して論じ、問題提起することが必要です」

―労働法教育の在り方を考えることで、何が見えてきますか。
「そもそも今ある労働法が守られず、労働者もそれを使いこなせていない現状では、新しいルール構築という次のステップには踏み出せません。労働法に若者が親しむ環境を整えることは、不安定な社会をよく変えていくことの第一歩となっていくはずです」

◎来月4日、雇用問題セミナー/現場の実態報告、退職強要対策も

セミナー「労働法を使おう!―若者が違法状態をあきらめない教育を」は7月4日午後3時から。雇用に関連した悩みを抱えている人、労働法教育などを含む雇用システムの在り方に疑問を感じている人など、誰でも参加できる。

当日はPOSSE代表の今野さんらが労働現場の不条理な実態を報告。労働法に詳しい仙台弁護士会の北見淑之弁護士が合理的理由がないのに退職を迫られたりした場合の対処法などをアドバイスする。その後、参加者がグループでワークショップや討論を行う。

事前に申し込んでいなくても当日参加も可能。入場無料。連絡先は河北新報社生活文化部「不安社会」取材班022(211)1167。セミナーの概要は河北新報のホームページ「KOLNET」にも掲載。雇用不安問題を語り合う掲示板も開設している。

<こんの・はるき>仙台市出身。仙台二高を卒業後、中央大法学部に進学。POSSE設立の翌年の2007年4月から、一橋大大学院で雇用政策を専攻する。POSSEには若者を中心に約170人の会員がおり、提言誌発行などを行っている。

格差社会が生む「健康の不平等」

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すごい本だね。格差社会は「健康の平等」という日本が世界に誇ってきた神話すら崩壊させかねないという告発の書だ。最大の論点は「低所得者層ほど癌や心臓疾患などの成人病になりやすい」という事実。

日頃の食事やスポーツに気を使い、絶えず人間ドックで健康チェックをしている比較的裕福な家庭と、ジャンクフードやお菓子で子育てをし、少々家族が太り気味になっても気にもしない貧困家庭。はっきりと数値は見たことないけど、日本でも平均寿命にかなり差が出ているんだろうね。

今週の本棚:山内昌之・評 『格差社会の衝撃…』=リチャード・G・ウィルキンソン著 ◇『格差社会の衝撃--不健康な格差社会を健康にする法』
(書籍工房早山・1995円)

◇日本も失いつつある健康と寿命の平等

十年以上前にさかのぼると、日本は先進国でもいちばん平等であり、日本人の健康状態も良く社会問題はほとんど深刻でなかった。しかし、疫学と経済の双方に通じた著者の英国人ウィルキンソンによれば、日本がかつての平等性を取り戻さないと、社会問題はますます増大し、世界で最高の健康水準を誇る名声を失うと警告を発する。著者は日本語版への序文において、相対的貧困の中で暮らす子どもの数が増え続ける兆候を指摘した。親が低い地位や相対的貧困の中で生きるストレスや困難は、家族関係にも悪い影響を与えてしまうというのだ。

低所得という“汚名”がもたらす家庭のストレスで育つ子どもの割合が上昇すれば、それがもたらす帰結に日本も苦しむという指摘には不気味な預言性がある。著者の主張の背景には、社会指標としての健康と病気を、人間と環境との関係を反映したものと考える見方がある。

著者は本書でまず「疫学転換」の意味を強調する。それは、経済発展によって絶対的かつ物質的欠乏が解消された結果生じる健康の変化のことだ。疫学転換の重要な特徴は、すべての年齢層、とくに子どもに多く見られた古いタイプの感染症死亡が減少し、代わって高齢者に多く現れる心臓病や癌(がん)のような変成疾患が増加している点にあるというのだ。

また、基本的必需品を得るのに苦労せず健康になる条件が達成されると、いわゆる「贅沢(ぜいたく)病」の社会的分布も逆転し、豊かな社会では金持ちでなく貧困層の間に広がっていく。確かに、日本でも今では貧困層の方に金持ちよりも太っている人もいる現象は珍しくない。健康は平等に保障されず、健康は社会的地位によって決まってくるとまで言い切る。健康水準は、所得や教育水準や職業のどの基準で測っても、社会階層のトップに近いほど高く、逆に底辺に近いほど低くなる結果が証明されている。米国では豊かな地域に住む白人と貧しい地域に住む黒人の平均寿命の差は、男女ともに十六歳にもなるというから恐ろしい。

こうして著者は、平均寿命の大きな格差を現代の先進国の最も深刻な社会的不公正だと断定する。社会階層の低い層が被る高い死亡率だけでなく、寿命の短さが生活の質の低い層で起きている点こそ不公正の冠たるものだというのだ。そこで著者は、力のある者が社会関係を順位づける「優位順位戦略」でなく、互いを認め合う公正な「平等主義戦略」の意義と立場を理解しながら、貧困問題の解決シナリオを描き始める。

貧困とは、財の少なさや、手段と目的の関係ではなく、人と人との関係や社会的地位に関(かか)わる問題であり、「階級間のいまいましい差別」のことだと定義する。一九八〇年代半ば~九〇年代の米国では人びとが望ましいと考える生活を過ごすために必要な「憧(あこが)れの所得」が二倍になり、消費は地位を表す力によって煽(あお)られていた。貯蓄を減らし借金をするようになったのは当然であろう。

ここで著者は「集団密度効果」という現象を強調する。何であれ少数派に属する人が同じ少数派の集団に属する人たちの割合が小さな地域に住むと、精神衛生的に良くない結果が出る現象である。共通の教養やマナーを知らず時に恥を意識する機会が増えるのは、経済の便益を十分に相殺するほどに大きなストレスになる。反対に、友情は健康に良いものなのだ。平等こそ友情と互恵性と分かち合いの核心なのである。結婚が同じ階層内で行われがちなのは自然であり、友達との食事も食糧の分かち合いという協力の強いジェスチャーから来ているという見解は感心させられた。

「不平等が増せば、社会関係の質が低下し、信頼関係が失われ、劣位に置かれることを拒否しようとする者による暴力が増大し、ストレスによって健康は悪化する」。社会的緊張やプレッシャーが人びとの心に忍び込むと、不平等化による自分の社会的地位の優劣や成果が気になり、他者による評価をひどく気にするようになる。著者は、「力は正しさなり」という優位順位戦略と、平等な分配と結びつく協力的かつ社会的な平等主義戦略の間のどこかに正解があると考えるが、著者の同情は明らかに後者の方へ傾いている。

それは、「自由」という考えを社会的地位の格差や従属や劣位を避けたいという願望と結びつけ、「博愛」を寛容で支え合う社会関係の連帯だと述べている点からも理解される。確かに平等は自由と友愛の前提条件であるが、著者の主張は理想に走るきらいがある。もっとも、所得の多寡は人の優劣に関係せず、日本は一人あたりのGDPが高いからアジアで最優秀だという理屈にはならない。所得水準で人間と社会の達成点を評価しがちな経済学の正統派に反旗を翻す大胆な議論もある。小泉・竹中改革とは何だったのか、という歴史の問いを新たな角度から考える上でも参考になる書物であろう。(池本幸生・片岡洋子・末原睦美・訳)

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