Archive for 8月, 2009


「コミケ」人気に学術・経済が大注目!
2009/8/29

8月14日から16日まで東京・有明の東京ビッグサイトで開かれ、過去最高の56万人を集めた同人誌即売会「コミックマーケット(コミケ)76」。出版社や映像会社に負けないパワーを持つようになったコミケを、ユーザー発の市場興隆といった視点から研究する学者もいて、コミケ会場でシンポジウムを行い、文化や経済にコミケが及ぼしている影響の大きさを訴えた。

漫画を中心に、イラストや評論といった創作活動を行う個人やサークルが、冊子を持ち寄り頒布するイベントがコミケ。1975年の第1回開催から30年以上がたち、世界最大の同人誌即売イベントへと成長した。現在は8月と12月の年2回、開かれている。

14日に行われたシンポジウム「ユーザーが生み出す超多様性市場としてのコミックマーケットとその今後」には、コミックマーケット準備会の筆谷芳行共同代表が登壇。参加者が増えている背景には、「対等の立場で作家さんと話せる機会は、日本でもそうはない」ことがあると話した。

◆作り手と売り手相互刺激

サークルとして参加する人には、プロとして活躍する漫画家やイラストレーターも大勢いる。あこがれのクリエーターと話せる場としてファンが集まり、列を作る。プロとして活躍するクリエーターも、商業の枠を超えた活動ができる場として積極的に参加する。

こうして、作り手と受け手が刺激しあいながらコンテンツを盛り上げていく動きが、さまざまな作品やジャンルで発生する。

東京工業大学の出口弘教授は「雑誌のプロ編集者が見いだす物語世界の新たな変化の軸を先取りし、輻輳(ふくそう)し、交差し、進化させる苗床」として、コミケをはじめとした同人市場が機能していると分析する。

新たなクリエーターやトレンドを生み出す場の存在が、日本の漫画文化、アニメ文化を活気づけた。

こうした場を、政策として支援し発展させていこうとする議論も出始めているが、東大大学院の田中秀幸准教授は「政府でも市場でもないコミュニティー。あえて何かを加えるより、場を維持していくことが大切」と指摘する。

2010年3月21日と22日に、水戸市で「コミケットスペシャル5」が開かれる。

5年に1度の番外編で、町おこしをテーマに開催地を募り水戸に決まった。百貨店が移転したあとの空きビルを会場に、コミケパワーで来場者を集める予定。ファンのエネルギーが、地域の文化や経済の活性化にもたらす効果を測る場として注目される。

子供の転校情報どう守る=DV被害者保護、教委が苦心

配偶者の暴力を逃れて別居したドメスティック・バイオレンス(DV)被害者をめぐり、子供の転校手続きを通じて加害者に居場所が知られてしまわないよう、各地の教育委員会が苦心している。記録の引き継ぎをきっかけに、元の小中学校から新しい通学先が漏れる恐れがあるためだ。文部科学省も7月、全国の教委や学校に情報管理の徹底を求める通知を出した。
一般の転校では、転居先の小中学校が元の学校に連絡し、児童生徒ごとに保護者名や出欠・学習状況を記録した「指導要録」の写しを取り寄せる。元の学校は原本に転校先の校名と所在地を書き込んで保存する。
文科省は進級や卒業の認定に必要になるとして、要録の引き継ぎ手続きを省令などで規定。同省は7月の通知で「転校先を知り得る者を最小限にする」と求める一方、写しの送付や転校先の記載はきちんと行うよう念押しした。
しかし、居場所を隠すために住民票さえ移さないDV被害者には、教職員らに転校先を知られることも恐れる人が少なくない。
熊本市教委は被害者が希望すれば、学校間での連絡はさせずに、旧住所の教委に仲介してもらって写しを入手する。元の学校には学校名を伏せることができる。
居場所を一切知られたくない被害者の場合、例外的措置として、元の教委にさえ転校を伝えず、要録は取り寄せない。元の学校にとっては子供が突然来なくなったまま、行方不明となる。担当者は「心配を掛けるが、やむを得ない」と打ち明ける。(2009/08/22-06:12)

【アフリカ発!Breaking News】1日50本分のニコチンを吸収?!マラウイの子供達の実情。
2009年8月27日 7:30

マラウイのタバコ栽培農場で働いている何千人もの子供が、1日50本喫煙するのと同じぐらいのニコチン中毒を患っているという結果が、児童人権組織によって発表された。

5歳の子供達を対象に調査した結果、ひどい頭痛、下痢、筋力の低下、咳、呼吸困難などのニコチン中毒の症状があった。児童労働者は平均5歳、長時間の重労働で低賃金という環境。しかもタバコを吸っていないのに肌からニコチンを吸収してしまっている。ぬれたタバコの葉に触れることに起因する一種のニコチン中毒「グリーン・タバコ病(green tobacco sickness GTS)」として知られており、喫煙などによるニコチンへの抵抗が出来上がっていない子供にとってはきわめて深刻だそうだ。マラウイの子供達のニコチン吸収率は1日およそ54ミリグラム、50本のタバコのニコチン量に相当するそうだ。

アフリカ南部の貧困国では8万人以上もの子供が、学校に行けずにタバコ栽培農場で働いている。1日12時間労働で時給1,7セントにも満たない賃金で働いている子供が多い。もちろん肉体的、精神的な暴力だけでなく性的暴力の被害に遭っているが、家族のため、または学費を払うために働く必要があるという子供もいる。マラウイでも、1300万人の人口の半分が1日1USドル以下という生活を送っている。

タバコ産業が国の要となっているマラウイでは、この現状を変えるのは難しいようだ。
(TechinsightJapan編集部 近藤仁美)

教員養成6年制に、民主が方針  12年度導入、免許更新制は廃止

民主党は27日、衆院選で政権を獲得した場合、教員免許取得に必要な大学の4年制養成課程を、2012年度から大学院2年も義務化して6年制に延長する方針を固めた。教員の指導力向上が目的。今年4月に始まった教員免許更新制度は「教育現場の負担が大きく、効果が不透明」として新制度導入に合わせ廃止する。免許取得前1年間の教育実習も義務付ける。

6年制の受け皿となる「教職大学院」は09年度現在、全国に24校しかない。民主党は、11年度までに都道府県ごとに設置した後、12年度から新制度に移行させる考え。政権獲得後1年をかけて(1)カリキュラムの策定(2)教授陣の選考(3)教育実習受け入れ校の確保―などの準備を進める。

教員免許更新制は「教育再生」を掲げた安倍内閣が「不適格教員」排除を念頭に導入を決めた。教員免許を有効期間10年の更新制とし、更新前に30時間以上の講習を義務付けた。しかし講習時間確保を求められ、教育現場の負担が大きいなど問題点が指摘されている。

民主党は現職教員の質の向上策として、免許取得後8年以上の現場経験を積み、「教科指導」「生活・進路指導」「学校経営」の各分野で高い能力を持つと認定された教員には「専門免許状」を与える制度も新設する方針。将来的には、校長や教頭などの管理職となるには学校経営の専門免許状取得を条件とする方向だ。

民主党は、政府の無駄遣いを精査する「事業仕分け」の結果を7月に公表し「講習の効果が不透明で教員の質の向上は図れない」として免許更新制廃止を主張していた。

若者「ゲーム感覚」、高齢者「孤独」 万引き動機見えた
2009年8月27日1時5分

万引きの動機で多いのは、少年少女は「ゲーム感覚」、高齢者は「孤独」。警視庁が逮捕・補導した1050人を対象に聞き取り調査したところ、こんな傾向が明らかになった。調査結果をもとに、同庁の委嘱で万引き防止策を検討してきた専門家による委員会(委員長=坂井昭宏・桜美林大教授)は26日、提言をまとめた。「万引きは犯罪」との認識を根付かせるには、店側がすべての被害を警察に届け出るべきだとし、警察には手続きの簡素化、迅速化を求めている。同庁は秋までに具体的な対策をまとめる方針。

生活安全部によると、聞き取り調査の対象は少年少女428人、65歳以上の高齢者204人、20~64歳の成人418人。調査結果によると、動機(複数回答)について、少年少女で多かったのは「ゲーム感覚」27%、「単に欲しかった」23%だった。高齢者では「孤独」24%、「特に理由なし」9%、「生きがいがない」8%が目立った。成人でも「孤独」16%が多く、「むしゃくしゃしていた」13%が続いた。

高齢者の90%が友人について「いない」「少ない」とし、48%が相談できる相手は「なし」と答えた。高齢者の50%が自分を「裕福」「普通」と答えた。成人では「困窮」「やや困窮」との回答が57%にのぼり、同庁は不況の影響もあるとみている。

同庁は、家電量販店、大型専門店街、大型ホームセンターなど6店について万引きの対応状況などについても調査。回答があった5店のうち3店はすべての被害を届けるとしたが、2店は被害状況によって通報すると回答した。

ワークライフバランス元年”の効果と実績を内閣府が公表
2009/08/17
神野恵美

2007年12月に「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)憲章」および「行動指針」を策定し、ワークライフバランス社会の実現を目指して政府が本腰を入れ始め、”ワークライフバランス元年”となった2008年度。その取り組み状況や実績、効果をまとめた内閣府の「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)レポート2009」がこのほど公表された。

政府は前述の憲章/行動指針において、ワークライフバランス実現のために2017年度までに達成すべき数値目標を策定している。今回の報告書によると、全14項目のうち改善した指標は10項目、悪化した指標が1項目、現状維持のものは3項目となった。

具体的には、週労働時間60時間以上の雇用者の割合が2006年度の10.8%から10%へ微減。政府が目標値と定める2016年度に5.4%を達成するには、依然半減する必要がある。また、週労働時間が49時間以上の割合を国際比較した場合、日本は28.5%にものぼり、米国の17.3%、イギリスの24.9%、フランスの8.6%など主要欧米先進国に比べると、依然として高い水準にあるといえるほか、年次有給休暇取得率は47.7%にとどまり、 2012年度の目標数値60%にはまだほど遠い現状だ。

一方、少子化対策の取り組みでは、女性の育児休暇取得率は89.7%となり、2年前の約7割から大幅に上昇。2012年度に8割を目指した政府の目標値を早くもクリアした。これに対し、男性の育児休暇取得率は、2005年度の0.5%から2007年度に1.56%に上昇。一定の改善は見られるものの、依然水準は低く、2012年度に5%、2017年度に10%の目標達成には課題が残る状況だ。また、女性の育児休暇取得は定着したものの、第1子出産前後の妻の就業経歴を見た場合、2000年から2004年に出産した人の出産退職者は41.3%にものぼり、育休利用者の就業継続率はわずか13.8% と、女性の就業継続に出産/育児が大きな障害となっている状況が伺える。

こうした現状に対して、政府は今後法改正を実施する意向だ。2010年4月には「改正労働基準法」が施行され、時間外労働の割増賃金率が引上げられるほか、仕事と家庭の両立を支援するための雇用環境の整備等について記載した一般事業主行動計画の策定/届出の義務が、労働者数101人以上の中小企業事業主にも拡大。2010年7月までに、子育て期間中の短時間勤務制度、所定外労働免除が義務化され(常時100人以下の労働者を雇用する事業主については 2012年7月までに)、父母ともに育児休業を取得する場合の休業可能期間の延長を認める「パパ・ママ育休プラス」を導入するなど、多くの労働制度が見直される。
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フランス人は日本のポップカルチャーが好き
2009年08月19日 16:44更新
小幡 公春

去る7月2日~4日、フランスのパリ郊外で開催されたジャパンエキスポに行ってきた。

ジャパンエキスポは、アニメやマンガ、ゲームなどのポップカルチャーから、武道や華道、茶道などの伝統文化まで、幅広く日本を紹介するイベントで、今年の開催で記念すべき10回目となった。

4日間で、何と14万人以上が集ったそうだが、日本文化へのフランス人の関心の強さが伺われる。と言っても、来訪者の大半は日本の文化全般というよりもアニメやマンガに触れることがお目当てで、2割近くの来訪者がアニメやマンガのキャラクターの格好をして来る。所謂、コスプレーヤーだ。

私自身は、私が講師をしているバンタン電影アニメマンガ学院のブースで、アニメ作画のデモンストレーションをするために参加したのだが、その合間を縫って、フランスで日本のマンガやDVDを販売をする会社のTOPクラスの方へのインタビューを試みたり、現地に暮らす日本人から生の声を採取するなどして、フランスのアニメ・マンガ事情を調査してきた。

日本で人気の作品が、そのままフランスでもブレークしていると思いきや、そう単純ではなく、今日の隆盛の影には様々な紆余曲折、丁々発止があり、更には日本のポップカルチャーを愛し、自国に紹介するために汗を流してきた人たちのドラマがあったのだ。

-日本のアニメ・マンガ、受け入れの経緯-

そもそも日本のアニメ、マンガがフランスで受け入れられたきっかけは、1978年、永井豪原作、東映動画(現、東映アニメーション)制作のTVアニメ「UFOロボ・グレンダイザ-」がブレークしたのが発端だった。現地では「ゴルドラック」というタイトルだったそうだが、その放映時間には外で遊ぶ子供がいなくなるほどの人気番組となり、以降、日本のアニメは怒涛のごとくフランスに流入していった。

日本のアニメに対して大人世代からは、暴力的だとか、倫理的に問題があるとか、批判的な意見が多くあったようだが、子供たちの圧倒的な支持はそれらを駆逐するに余りあった。しかし、90年代に入り、アニメ「キン肉マン」に登場したブロッケンJrというキャラクターがナチスドイツをモチーフにしていたことが問題となり、一気に日本のアニメの排除が行われた。日本アニメ、空白の10年の始まりである。

この間に、フランスのアニメファンたちは日本語のマンガを入手して読むようになり、その流れを受けてフランスの出版社が日本のマンガを輸入し、翻訳して販売するようになった。

はじめはヨーロッパ式に左読みにする為、絵を反転していたが、91年、日本式の右読みで「ドラゴンボール」が出版され大成功を収めたのをきっかけに右読みが定着。日本のマンガはあっと言う間に市場を拡大し、フランスはヨーロッパ最大の日本マンガ市場になって今に至っている。

90年代中には、アニメに対して起こったバッシング同様の非難が日本のマンガに対しても起こったが、その背景にはフランスのマンガが駆逐されるのではないかと恐れるフランスのマンガ出版社からの働きかけもあったようだ。

フランスには「バンドデシネ(通称BD)」と呼ばれるアートマンガがあり、フランス人はこれを誇りにしている。BDはカラーが主体で、ストーリーよりも絵が重視される形態なので、ドラマ性の強い日本のマンガはそれとは住み分けた形でフランス人の心を掴み、ヒットを勝ち取ったと言える。

日本のマンガがフランスでヒットしていると言うと、書店にコミックスが並んでいるようなイメージを抱かれると思うが実際はそうではない。マンガ販売の中心は量販店なのだ。

しかも、量的には圧倒的にBDの方が勝っている。BDという市場があったが故に、日本のマンガが受け入れられたと言っても過言ではないだろう。

アニメの空白期に浸透していったマンガ人気に後押しされて、1999年、アニメ「ポケモン」がフランスで久々の日本アニメとして放映されるや、再び日本のアニメは解禁となり現在に至っている。

-現在のフランスのアニメ・マンガ事情-

日本のアニメの空白期は、図らずもフランスのアニメ業界の活性化にも繋がることになった。

現在、フランスでは一年間に数本の劇場用アニメが制作され、国内外で高い評価を受けている。アニメ会社は50を数え、高い技量を持った2500人近いアニメーターを有し、数多くのテレビアニメをも制作して欧米各国へ輸出している。日本やアメリカのように、安いコストを求めて海外に下請けを出すということはせず、全制作工程を国内でこなして高いクォリティを保っているのだ。

そのようなしっかりした基盤を支えているのはアニメ・映像系の専門学校である。特に有名なのはゴブラン映像学校だ。優秀な卒業生はディズニーやドリームワークス、ピクサー等、世界最大手の映画会社から引っ張りだこだと言う。フランスは今や、世界に人材を輩出するヨーロッパ最大のアニメ大国となった。

ところで、日本では、人気のマンガがアニメ化されると、その原作マンガが更に売れるという相乗効果が一般化しているが、フランスでは外国アニメの放送枠が狭いため、これまでは相乗効果があまり望めなかった。しかし昨今、日本のアニメがほとんどリアルタイムに、ネット経由でフランスに入るようになった。しかも有志(?)による、フランス語の字幕付きでだ。これは明らかに違法なのだが、サーバーがアメリカにあるため取り締まれないのだそうだ。

また、日本のテレビドラマも同じようにアングラサイトによってフランス人に楽しまれている。現在、日本のテレビドラマのほとんどがマンガ原作のドラマ化なので、結果として原作のマンガがヒットするという効果に繋がっているのだ。

ちなみに、フランス人は、日本のファッション情報にも強い関心を持っており、日本で発売されたファッション誌がすぐにスキャニングされて、アニメやドラマ同様、ネットでフランスに流れているとのことだ。フランスこそファッションの本場と思っていた私にとっては驚愕の事実である。日本語の「カワイイ」という言葉はフランス人なら誰でも知っているようだ。

日本では、ヒットしたマンガがアニメ化されるだけでなく、アニメのコミカライズ(マンガ化)、マンガのノベライズ(ノベル化)、もしくはゲーム化、ドラマ化、映画化など、ヒット作品が一つのジャンルに留まることのないメディアミックスの時代に入って久しい。フランスではさすがにライトノベルのヒットはないだろうと思っていたが、ライトノベル原作のヒットアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の原作が翻訳され、年内にもフランスで発売されるとのことで、ここまできたかの感がある。

少女をターゲットにした少女マンガというジャンルは日本独自のものだが、「フルーツバスケット」や「NANA」のヒットで、今やフランスでも一つのジャンルとして定着している。

-フランス人が日本の作品に求めるもの-

日本のヒット作品がそのままフランスのヒット作品になるというわけではないようだ。例えば、ジブリアニメのベストを選ばせると、日本では「天空の城ラピュタ」になるが、フランスでは「ラピュタ」は下位で、トップは「もののけ姫」次いで「千と千尋の神隠し」となる。やはり日本の作品に求めるものは日本的なものということになるのだろうか。

「美少女戦士セーラームーン」などのヒットからも推測できるのだが、サクラの国の少女が制服を着て戦う姿はフランス人にとってエキゾチックに映るようだ。圧倒的な人気作品「NARUTO」もやはり日本的な忍者ものである。

マンガのヒットに関しては、自然発生的なものだけでなく、意図されたものもあるようだ。今回、日本のマンガ販売に関しては老舗といえるほどの歴史を持つグレナット社の代表、ファーヌ・フェラン氏にもインタビューさせていただいた。

フェラン氏によると、20年前に日本のマンガをフランスに紹介して以来、毎月のように来日して、いい作品を探しているとのことだ。

フランス人に好まれるマンガという観点で買い付けをするだけでなく、「これはいい作品だからそれほど売れなくても紹介したい」という作品も一定の割合で必ず買い付けているというのだ。

例えば、フェラン氏が発掘した漫画家の一人に、谷口ジロー氏がいる。谷口氏は青年誌で活躍するベテラン漫画家で、数々の受賞暦もあるが、若い人たちの認知度はかなり低いだろう。私は谷口氏の「犬を飼う」という作品を読んだことがあるが、熟練の演出技と作家個人の良心に裏付けられた感動的な傑作だ。現在、谷口氏はフランスだけでなく、イタリアやスペインでも有名で、数多くのファンがおり、実際にヨーロッパで数々の漫画賞を受賞している。

あくまでも私の印象だが、日本人はマンガを暇つぶしの読み物として扱う傾向があるが、フランス人はバンドデシネの歴史のもとで、マンガを文学と同列に扱っているように思われる。そんなフランス人にリスペクトされ、高い評価を得ている日本の漫画家がいることをとても嬉しく思うのだ。

フェラン氏に「日本の漫画の魅力は何か」と尋ねたところ、帰ってきた言葉に始めは意外性を感じたが、最後には十分に納得がいった。氏曰く「日本の漫画は教育的なアートエンターテイメントだ」とのこと。

要するに、マンガを通して、食の世界、スポーツの世界、サラリーマンの世界など、様々な世界、業界のことが詳しく学べ、そこに携わっている人たちの誇りや喜び、そして苦悩までもが分かる。そんなところが魅力的だと言うのだ。例えば「神の雫」という作品は、フランス人が誇りとするワインの世界をとても良く読者に知らしめてくれているので嬉しく思っているとのこと。フランス人は探究心が強いそうで、そんな彼らの琴線を日本のマンガは激しく震わせるのだそうだ。

フランスの逆襲?

今、フランスに日本のアニメやマンガをバッシングする動きはほとんどない。なぜかというと、かつて、バッシングの中でマンガを読み続けた世代が今や大人となり、更にその子供がマンガを読む年代になってきたからだ。完全に日本のアニメ・マンガはフランス人に受け入れられたと言って良いだろう。

ただし、「フランス人は日本のポップカルチャーが好きなんですね」と、上から目線でほくそ笑んでいられる時代はどうも終わりかけているようだ。

ジャパンエキスポでも特大のブースを構えていたが、フランスにアンカマ社というゲーム会社がある。アンカマ社は今年の3月に日本のディーエルイーという企業と業務提携をして、日本に支社を構えた。アンカマ社は「Dofus」というゲームをヒットさせたのだが、日本を舞台にしてそれをアニメ化、マンガ化、グッズ化展開していこうとしているのだ。

日本のポップカルチャーを知り尽くしたフランスの企業が、いよいよ日本に反転攻勢をかけてきたとも言えるが、そう目くじらを立てることはないだろう。文化を通してお互いを理解し合っていくことは、まさに平和への最短距離だからだ。

学生たちには、このような世界の潮流を逐次伝え、大きな目でクリエイティブ業界を見据えていけるよう育てていきたい。また、そんな日本の若者たちが海外のポップカルチャーをどう受け止めていくのかを関心を持って見ていきたいと思う。二つの文化が、摩擦しながらも融合していったところに新たな文化が生まれてくるからだ。

フランスのアニメ・マンガ事情レポート
小幡 公春

フランス人は日本のポップカルチャーが好き

去る7月2日~4日、フランスのパリ郊外で開催されたジャパンエキスポに行ってきた。

ジャパンエキスポは、アニメやマンガ、ゲームなどのポップカルチャーから、武道や華道、茶道などの伝統文化まで、幅広く日本を紹介するイベントで、今年の開催で記念すべき10回目となった。

4日間で、何と14万人以上が集ったそうだが、日本文化へのフランス人の関心の強さが伺われる。と言っても、来訪者の大半は日本の文化全般というよりもアニメやマンガに触れることがお目当てで、2割近くの来訪者がアニメやマンガのキャラクターの格好をして来る。所謂、コスプレーヤーだ。

私自身は、私が講師をしているバンタン電影アニメマンガ学院のブースで、アニメ作画のデモンストレーションをするために参加したのだが、その合間を縫って、フランスで日本のマンガやDVDを販売をする会社のTOPクラスの方へのインタビューを試みたり、現地に暮らす日本人から生の声を採取するなどして、フランスのアニメ・マンガ事情を調査してきた。

日本で人気の作品が、そのままフランスでもブレークしていると思いきや、そう単純ではなく、今日の隆盛の影には様々な紆余曲折、丁々発止があり、更には日本のポップカルチャーを愛し、自国に紹介するために汗を流してきた人たちのドラマがあったのだ。

-日本のアニメ・マンガ、受け入れの経緯-

そもそも日本のアニメ、マンガがフランスで受け入れられたきっかけは、1978年、永井豪原作、東映動画(現、東映アニメーション)制作のTVアニメ「UFOロボ・グレンダイザ-」がブレークしたのが発端だった。現地では「ゴルドラック」というタイトルだったそうだが、その放映時間には外で遊ぶ子供がいなくなるほどの人気番組となり、以降、日本のアニメは怒涛のごとくフランスに流入していった。

日本のアニメに対して大人世代からは、暴力的だとか、倫理的に問題があるとか、批判的な意見が多くあったようだが、子供たちの圧倒的な支持はそれらを駆逐するに余りあった。しかし、90年代に入り、アニメ「キン肉マン」に登場したブロッケンJrというキャラクターがナチスドイツをモチーフにしていたことが問題となり、一気に日本のアニメの排除が行われた。日本アニメ、空白の10年の始まりである。

この間に、フランスのアニメファンたちは日本語のマンガを入手して読むようになり、その流れを受けてフランスの出版社が日本のマンガを輸入し、翻訳して販売するようになった。

はじめはヨーロッパ式に左読みにする為、絵を反転していたが、91年、日本式の右読みで「ドラゴンボール」が出版され大成功を収めたのをきっかけに右読みが定着。日本のマンガはあっと言う間に市場を拡大し、フランスはヨーロッパ最大の日本マンガ市場になって今に至っている。

90年代中には、アニメに対して起こったバッシング同様の非難が日本のマンガに対しても起こったが、その背景にはフランスのマンガが駆逐されるのではないかと恐れるフランスのマンガ出版社からの働きかけもあったようだ。

フランスには「バンドデシネ(通称BD)」と呼ばれるアートマンガがあり、フランス人はこれを誇りにしている。BDはカラーが主体で、ストーリーよりも絵が重視される形態なので、ドラマ性の強い日本のマンガはそれとは住み分けた形でフランス人の心を掴み、ヒットを勝ち取ったと言える。

日本のマンガがフランスでヒットしていると言うと、書店にコミックスが並んでいるようなイメージを抱かれると思うが実際はそうではない。マンガ販売の中心は量販店なのだ。

しかも、量的には圧倒的にBDの方が勝っている。BDという市場があったが故に、日本のマンガが受け入れられたと言っても過言ではないだろう。

アニメの空白期に浸透していったマンガ人気に後押しされて、1999年、アニメ「ポケモン」がフランスで久々の日本アニメとして放映されるや、再び日本のアニメは解禁となり現在に至っている。

-現在のフランスのアニメ・マンガ事情-

日本のアニメの空白期は、図らずもフランスのアニメ業界の活性化にも繋がることになった。

現在、フランスでは一年間に数本の劇場用アニメが制作され、国内外で高い評価を受けている。アニメ会社は50を数え、高い技量を持った2500人近いアニメーターを有し、数多くのテレビアニメをも制作して欧米各国へ輸出している。日本やアメリカのように、安いコストを求めて海外に下請けを出すということはせず、全制作工程を国内でこなして高いクォリティを保っているのだ。

そのようなしっかりした基盤を支えているのはアニメ・映像系の専門学校である。特に有名なのはゴブラン映像学校だ。優秀な卒業生はディズニーやドリームワークス、ピクサー等、世界最大手の映画会社から引っ張りだこだと言う。フランスは今や、世界に人材を輩出するヨーロッパ最大のアニメ大国となった。

ところで、日本では、人気のマンガがアニメ化されると、その原作マンガが更に売れるという相乗効果が一般化しているが、フランスでは外国アニメの放送枠が狭いため、これまでは相乗効果があまり望めなかった。しかし昨今、日本のアニメがほとんどリアルタイムに、ネット経由でフランスに入るようになった。しかも有志(?)による、フランス語の字幕付きでだ。これは明らかに違法なのだが、サーバーがアメリカにあるため取り締まれないのだそうだ。

また、日本のテレビドラマも同じようにアングラサイトによってフランス人に楽しまれている。現在、日本のテレビドラマのほとんどがマンガ原作のドラマ化なので、結果として原作のマンガがヒットするという効果に繋がっているのだ。

ちなみに、フランス人は、日本のファッション情報にも強い関心を持っており、日本で発売されたファッション誌がすぐにスキャニングされて、アニメやドラマ同様、ネットでフランスに流れているとのことだ。フランスこそファッションの本場と思っていた私にとっては驚愕の事実である。日本語の「カワイイ」という言葉はフランス人なら誰でも知っているようだ。

日本では、ヒットしたマンガがアニメ化されるだけでなく、アニメのコミカライズ(マンガ化)、マンガのノベライズ(ノベル化)、もしくはゲーム化、ドラマ化、映画化など、ヒット作品が一つのジャンルに留まることのないメディアミックスの時代に入って久しい。フランスではさすがにライトノベルのヒットはないだろうと思っていたが、ライトノベル原作のヒットアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の原作が翻訳され、年内にもフランスで発売されるとのことで、ここまできたかの感がある。

少女をターゲットにした少女マンガというジャンルは日本独自のものだが、「フルーツバスケット」や「NANA」のヒットで、今やフランスでも一つのジャンルとして定着している。

-フランス人が日本の作品に求めるもの-

日本のヒット作品がそのままフランスのヒット作品になるというわけではないようだ。例えば、ジブリアニメのベストを選ばせると、日本では「天空の城ラピュタ」になるが、フランスでは「ラピュタ」は下位で、トップは「もののけ姫」次いで「千と千尋の神隠し」となる。やはり日本の作品に求めるものは日本的なものということになるのだろうか。

「美少女戦士セーラームーン」などのヒットからも推測できるのだが、サクラの国の少女が制服を着て戦う姿はフランス人にとってエキゾチックに映るようだ。圧倒的な人気作品「NARUTO」もやはり日本的な忍者ものである。

マンガのヒットに関しては、自然発生的なものだけでなく、意図されたものもあるようだ。今回、日本のマンガ販売に関しては老舗といえるほどの歴史を持つグレナット社の代表、ファーヌ・フェラン氏にもインタビューさせていただいた。

フェラン氏によると、20年前に日本のマンガをフランスに紹介して以来、毎月のように来日して、いい作品を探しているとのことだ。

フランス人に好まれるマンガという観点で買い付けをするだけでなく、「これはいい作品だからそれほど売れなくても紹介したい」という作品も一定の割合で必ず買い付けているというのだ。

例えば、フェラン氏が発掘した漫画家の一人に、谷口ジロー氏がいる。谷口氏は青年誌で活躍するベテラン漫画家で、数々の受賞暦もあるが、若い人たちの認知度はかなり低いだろう。私は谷口氏の「犬を飼う」という作品を読んだことがあるが、熟練の演出技と作家個人の良心に裏付けられた感動的な傑作だ。現在、谷口氏はフランスだけでなく、イタリアやスペインでも有名で、数多くのファンがおり、実際にヨーロッパで数々の漫画賞を受賞している。

あくまでも私の印象だが、日本人はマンガを暇つぶしの読み物として扱う傾向があるが、フランス人はバンドデシネの歴史のもとで、マンガを文学と同列に扱っているように思われる。そんなフランス人にリスペクトされ、高い評価を得ている日本の漫画家がいることをとても嬉しく思うのだ。

フェラン氏に「日本の漫画の魅力は何か」と尋ねたところ、帰ってきた言葉に始めは意外性を感じたが、最後には十分に納得がいった。氏曰く「日本の漫画は教育的なアートエンターテイメントだ」とのこと。

要するに、マンガを通して、食の世界、スポーツの世界、サラリーマンの世界など、様々な世界、業界のことが詳しく学べ、そこに携わっている人たちの誇りや喜び、そして苦悩までもが分かる。そんなところが魅力的だと言うのだ。例えば「神の雫」という作品は、フランス人が誇りとするワインの世界をとても良く読者に知らしめてくれているので嬉しく思っているとのこと。フランス人は探究心が強いそうで、そんな彼らの琴線を日本のマンガは激しく震わせるのだそうだ。

フランスの逆襲?

今、フランスに日本のアニメやマンガをバッシングする動きはほとんどない。なぜかというと、かつて、バッシングの中でマンガを読み続けた世代が今や大人となり、更にその子供がマンガを読む年代になってきたからだ。完全に日本のアニメ・マンガはフランス人に受け入れられたと言って良いだろう。

ただし、「フランス人は日本のポップカルチャーが好きなんですね」と、上から目線でほくそ笑んでいられる時代はどうも終わりかけているようだ。

ジャパンエキスポでも特大のブースを構えていたが、フランスにアンカマ社というゲーム会社がある。アンカマ社は今年の3月に日本のディーエルイーという企業と業務提携をして、日本に支社を構えた。アンカマ社は「Dofus」というゲームをヒットさせたのだが、日本を舞台にしてそれをアニメ化、マンガ化、グッズ化展開していこうとしているのだ。

日本のポップカルチャーを知り尽くしたフランスの企業が、いよいよ日本に反転攻勢をかけてきたとも言えるが、そう目くじらを立てることはないだろう。文化を通してお互いを理解し合っていくことは、まさに平和への最短距離だからだ。

学生たちには、このような世界の潮流を逐次伝え、大きな目でクリエイティブ業界を見据えていけるよう育てていきたい。また、そんな日本の若者たちが海外のポップカルチャーをどう受け止めていくのかを関心を持って見ていきたいと思う。二つの文化が、摩擦しながらも融合していったところに新たな文化が生まれてくるからだ。

【インド】留学生送り出し世界2位のインド
2009年08月18日 06:43更新

インドの留学ブームが、世界的な景気後退の影響を受けていない同国に、また世界的な記録をもたらした。

インド外務省によると、約50万人のインド人留学生が、海外の大学等の学部課程、修士課程、博士課程そしてホテル経営や映画関連の専門課程で学んでいる。インドの海外への学生送り出し数は、世界第2位。トップは、同じくアジアの国である中国だ。
同省のデータは、興味深い事実を示している。
インド人留学生は、世界中の約55カ国で学んでいる。これは、米国や英国、オーストラリアなど人気の留学先だけでなく、カンボジアやアイスランド、スロベニアなど教育分野でそれほど知られていない国々も含まれている。

米国は依然として、世界中の学生から最も望ましい留学先とみられている。約10万人のインド人学生が、ソフトウェアや工学を含む、さまざまな教育課程へ進んでいる。
米国に次いで、英国やオーストラリアが世界中から学生を引き寄せている。

インド外務省によると、インド人留学生の数は同省のデータよりも多いとみられる。インド大使館に登録せず、関心のある国に直接入学許可を得ている学生が多いからだ。

ユネスコ(国連教育科学文化機関)の2007年の統計が、移住と教育に関する興味深いデータを示している。同統計によると、世界中のさまざまな国から約280万人が、自国を去り留学している。

ユネスコの事務局長は、この世界的な留学ブームのさまざまな要因について、「新しい教育の提供者、例えば他の国々にサブキャンパスを持っているインターネット上の大学や、企業内大学などが、高等教育の新しいあり方を生んでいる。これは、受益者の要望に応えるものだ。また、これは通信技術などの技術の発展が成し得たものでもある」と説明している。

女性の育休取得率9割超、男性は1%…厚労省調査
2009.8.18 20:21

平成19年度中に子供が生まれた働く女性の育児休業(育休)の取得率が初めて9割を超えたことが18日、厚生労働省の20年度の調査で分かった。男性の取得率は1%にすぎず、男性の育休取得は依然として進んでいない実態が浮き彫りとなった。

調査は昨年10月、民間の約1万事業所を対象に実施し、7324事業所から回答を得た。女性の育休の取得率は、調査が始まった平成8年度の49・1%から毎年上昇。18年度には政府目標の8割を上回る88・5%に達した。20年度は19年度に比べ0・9ポイント増の90・6%となり、初めて9割を超えた。男性の育休取得率は0・12%だった8年度から微増が続き、20年度は19年度に比べ0・33ポイント減の1・23%にとどまり、相変わらずの低水準だった。

13年度の調査では、出産を機に退職した女性が7割に達した。今回の調査結果で育休の取得率が上昇していることについて、厚労省の担当者は「育休に対する理解が広まったことに加え、不況で仕事を辞められない人が増えたためではないか」と分析。男性の低水準の育休取得率については、「『取得したい』と考えている男性は増えており意識は広まっている。ただ、職場に理解が広がっていないなどの理由から、ためらう人が多いようだ」とみている。

育休をめぐっては、昨年秋以降の急激な不況の影響で育休を取り、職場復帰しようとした社員を不当に解雇する「育休切り」が社会問題化。育休が取りにくく、少子化対策につながっていないのが現状。こうした状況を改善するため、育児・介護休業法の改正法が今年6月に成立した。3歳未満の子どもがいる従業員に対する1日6時間の短時間勤務や残業免除を事業主に義務づけることなどが柱になっている。