Archive for 2012年7月7日


 総務省は2012年5月30日、平成23年(2011年)調査における通信利用動向調査を発表した(【発表ページ】)。日本におけるインターネットや携帯電話など、情報通信関連の各種調査結果を反映した調査結果で、毎年7月頃に発表される【情報通信白書】のベースにもなる、同省の情報通信統計としては非常に重要なものである。現時点では概要、及び統計データのe-Statへの収録のみで報告書の類は完成していないが、今回はそのデータから「世帯単位での子供のインターネット利用状況」をグラフ化してみることにする。

今調査(通信利用動向調査)は2012年1月~2月に、地域及び都市規模を層化基準とした層化二段抽出方式による無作為抽出で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員4万0592世帯に対して行われたもの。有効回答数は1万6580世帯・4万7158人(企業に対して行われたものは常用雇用者規模100人以上5140企業/有効回答数1905企業)。調査方法は郵送による調査票の配布および回収なので、各媒体の保有率は調査結果に影響を与えていない。

  まずは子供の世代別・該当する子供のインターネット利用状況。なお以降のグラフも同様だが、あくまでも回答者の保護者が把握している範囲での話。つまり家庭外(友達の家や学校の端末)での利用は、回答には反映されていない。また「インターネットの利用」にはパソコン以外に一般携帯電話・スマートフォンなどによるものも含む。

  小学生未満は17.0%。これが小学校に入学すると4割強に増え、中学生に至ると9割近く、高校生になるとほぼ100%に達する。同様の調査が過去にも行われているが、確実に値は増加しており、子供たちの間へのインターネット普及状況をうかがい知ることができる。

  続いてこれらの「インターネット利用」がどのような機器で行われているかについて。大きく「自宅のパソコン」「一般携帯電話」「スマートフォン」で区分しているが、各世代のネット機器の利用状況がつかみ取れる。

  小学生未満でも自宅内のパソコンを使って、インターネットにアクセスさせている世帯は約1割。スマートフォンは6.0%と案外高め。これが小学生となると1/3強にまで増加する。以後中学生・高校生は8割強と、多くの子供たちが自宅のパソコンを用いてインターネットへアクセスしている状況が把握できる。

  興味深いのはモバイル系端末利用率。中学生では一般携帯・スマートフォンがそれぞれ2割・1割足らず。これが高校生になると過半数・2割強に増える。高校生のスマートフォン利用率が2割強という結果は、昨今の急速な普及状況を改めて認識するのに十分な値といえる。

  最後は携帯電話の種類について。一般の携帯電話以外に、子供専用の携帯電話(アクセス制限機能などさまざまな仕様が追加されている)が各企業から発売されているが、その利用実態をうかがえる結果となっている。

  小学校高学年までは、やや一般の携帯が多いものの、子供向け携帯電話と一般携帯電話の利用率に大きな違いは無い。ところが中学生になると一般携帯電話の利用率は大きく上昇し、高校生では5割近くに達する。一方で子供向け携帯電話は中学生で8%足らず、高校生で1割強でしかない。

  二つ目のグラフの値と比べると、ごく一部に「一般」「子供向け」双方の携帯電話を持つ中学生・高校生もいるようだが、多分に中学生以上は大人と同じ携帯電話を好むようである。なおこれが大人側からの配慮によるものか、子供の要望によるものかまでは、今データからだけではわからない。

  インターネットは今や社会的インフラとして、生活の上で欠かせない存在となりつつある。必然的に子供のうちに、正しい利用方法の習得が求められる。今後子供のインターネット利用状況の値も漸次増加を見せるに違いない。それと共に学校などにおける啓蒙活動も重要度を増してくるだろう。(情報提供:Garbagenews.com)

【関連記事・情報】

大津市で昨年10月、市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が飛び降り自殺した問題で、男子生徒へのいじめについて学校側が直後に在校生徒に実施したアンケートで、教諭が「見て見ぬふり」「一緒になって笑っていた」などといじめを放置していたことを示す回答が少なくとも14人分あったことが4日、関係者への取材でわかった。アンケートには男子生徒が自殺の練習をさせられていたとの回答があったことがすでに判明。市教委は「自殺の練習」と同様に、事実確認できないとして公表していなかった。

 教諭の放置を示す回答は記名8人、無記名6人で、直接見聞きした内容が1人、伝聞が13人。「先生も見て見ぬふり」や「一度、先生は注意したけれどその後は一緒になって笑っていた」と記されていた。また「先生もいじめのことを知っていたけどこわくて言えなかったらしい」などとするものもあった。

 一方、男子生徒が先生にも泣きながら電話でいじめを訴えたが、あまり対応してくれなかったらしい、と指摘する回答もあり、教諭が男子生徒へのいじめを認識していながら、適切な対応をとっていないことが明らかになった。

 市教委は昨年11月、記名で生徒が実際に目撃し、事実確認できたアンケート内容のみを公表し、死亡した男子生徒がいじめを受けていたことを認めたが、いじめと自殺との因果関係は不明としていた。

 しかし「自殺の練習」や教諭の放置を示す回答は、追加調査しても事実確認できないとの理由で、公表を見送っていた。

 大津市の澤村憲次教育長は4日市役所で記者会見し、「自殺の練習」のアンケート結果を公表しなかったことについて「隠したとは思っていない。(回答した生徒が)直接見たわけでなく、事実として確認しきれず、公表しなかった」と釈明した。

 

 

 当初「自殺の練習」と回答したのは15人とみられていたが、大津市教委は4日、16人と発表した。

eラーニング戦略研究所は7月2日、小・中・高校生を対象にした、PC・インターネットを利用した学習に関する意識調査の結果を発表。小学生の約4人に1人、中学生の約2人に1人、高校生の約3人に1人が、家庭での学習にPC・インターネットを利用していることが判明した。

この調査は、同研究所が全国の小・中・高校生の保護者計100名を対象に行ったもの。まず、子どもたちのインターネット利用状況から見てみると、小学生の76.5%、中・高生の93.9%がインターネットを利用しており、利用時間は小学生で週1~2時間、中・高生で5~10時間の利用が多いという結果に。主な利用目的は「調べもの」(80.7%)、「ゲーム」(56.8%)、「動画共有サイトの視聴」(56.8%)が上位だった。

そして、家庭学習でのPC・インターネット利用については、「利用している」と答えた保護者は全体で36.0%で、学習ソフト、ウェブ講義、オンライン学習、過去問の検索などを利用していると回答した。一方、「利用していない」(64.0%)と答えた保護者に、その理由を聞くと、

(小学生)
「検索するとすぐに答えが見つかるのはあまりよいと思わない」
「子どものうちは書物で調べさせたい」
「目に悪い」

(中学生)
「DSの学習ソフトを使っているから」
「部活や塾で忙しく時間がない」

(高校生)
「学習するふりしてゲームをしそう」
「勉強は学校のことだけでいい」

などを、挙げている。

文科省は7月3日、2013年からコンピューターで問題を解くデジタル読解力テストを全国の小中高で実施する方針を固めた。テストでは、コンピューターの使い方やインターネットを使って必要な情報を得られるかなどが問われるという。上記の調査結果を見る限り、「学習にパソコンやインターネットは必要ない」と考える保護者は現状半数以上存在し、文科省と保護者の意識には、微妙な隔たりがあるようだ。