5年間、インターネットばかりしていた男性は言葉を発せず

長期化、深刻化が目立つ 若者の引きこもり

2009年3月4日 講演に聞き入る沖縄市内の民生委員、児童委員=市産業支援センター    石川清さん  【沖縄】

第24回沖縄市民生委員児童委員研修大会が2月25日、市産業交流センターで開かれ、ノンフィクションライターの石川清さんが「長期引きこもりへの対応」と題して講演した。引きこもりの若者がいる家庭への訪問サポートを、2001年から関東地域を中心に展開している石川さんは、引きこもりの長期化と深刻化が進んでいるとし「理解も広がり、行政も支援へ取り組んでいるが、深刻なケースほど誰も引き受けず、社会から取り残されてしまう」と指摘。家族をはじめ地域や行政、医療機関などの第三者と連携して取り組む必要性を強調した。  引きこもりには、家族とのコンタクトが少ないかない「孤立・閉じこもり」、家族との交流があるが、他者・社会との交流は途絶している「引きこもり」、不就労・不就学である「ニート」などさまざまなタイプがあると、事例を挙げて説明。マニュアル通りにはいかず、個別に対応しなければならないと強調した。  引きこもる若者の特徴として「視野が狭く、完ぺき主義で一面的でしかものを見ないところがある」と話し、そういった部分を緩め、根気よく話を聞くことが大事だと指摘した。  また、3年以上引きこもると二次障害を伴うことがあるとし、人格障害や他者依存、うつ病、会話能力の未発達などになっていると説明。5年間、インターネットばかりしていた男性は、言葉を発することさえできなかったと述べた。  また、活動を通して気付いたこととして、親が危機感を持ちながら、どうすることもできず、問題の先送りや見て見ぬふりをしてしまう姿勢が引きこもりを長期化させててしまうとし、親に対するケアも同時に重要であると訴えた。