「ニート」とはご存知のとおり、15歳以上35歳未満の仕事にも学校にも行ってない若者たちのことだ。だが、最新青少年白書でその高齢化の実態が浮き彫りになったと言う。

だけどちょっと待って欲しい。この種の議論につきものだが、「ニート」という言葉のあいまいさが問題点をぼやけさせている気がしてならない。

「ニート」と「ひきこもり」とは明らかに違う。ニートがひきこもっているとは限らないし、求職活動継続中だがたまたま仕事が見つからない状態にあるだけかもしれない。こんな人は普通にたくさんいる。例の「ポスドク」だって高学歴ニートと呼ばれていた。

たしかにニートは「失業者」と違う。失業者とは求職しているにもかかわらず仕事が見つからない人のことだ。年齢制限もない。だけど本来の意味で言えばニートはむしろ失業者に近いと私は思う。

ニートの大部分はひきこもりなどではなく、単に働く機会に恵まれていないだけ、と考えるとこれはむしろ個人の問題と言うより社会経済の問題だ。

このニュースの記事のタイトルを「失業者の高齢化」と変えてみよう。そうすると問題の実態がよりリアルに浮かび上がるかもしれない。

青少年白書:ニート高年齢化 25~34歳、6年で3万人増

小渕優子少子化担当相は3日午前の閣議で09年版青少年白書を報告した。仕事も職業訓練もしていない若者(ニート)が、08年は前年比2万人増の64万人となった。中学、高校時代に不登校だったり中退した人がニートになる傾向が強いことも判明した。白書は「さまざまな支援が必要とされているにもかかわらず(現在の支援が)ニート状態からの脱却に必ずしもつながっていない」と施策見直しの必要性に言及した。

ニートの年齢別内訳は、15~24歳(低年齢層)が26万人、25~34歳(高年齢層)が38万人。総数は02年以降、62万~64万人で推移しているが、低年齢層は02年比で3万人減ったのに、高年齢層は3万人増え、ニートとなった人が社会復帰できず高年齢化している現状がうかがえる。

今回は不登校や中退した人の調査を初めて実施。今年2~3月、04年度に高校を中退した人1595人(回答168人)と、中学で不登校だった人480人(同109人)を対象とした。現在ニート状態にある人は高校中退者の20・8%(同年代平均5・9%)、中学不登校者の16・5%(同2・3%)と、いずれも同年代平均を大きく上回った。【横田愛】