Archive for 2009年7月19日


職業観、金よりやりがい “チェンジ” 米新卒学生に社会貢献意識
2009/6/25

お金より働きがい-。米国の学生の間に、こんな考え方が広がりつつある。ウォール街(米金融界)に勤め、高額ボーナスを手にする代わりに、公益分野に身を投じ社会に貢献しようというわけだ。変革を訴えたオバマ効果の産物かもしれない。

米名門アマースト大学のアンソニー・マークス学長は6年にわたって公益事業や教育の素晴らしさを訴えてきた。そのかいあって、今年の卒業生8人が、貧困地域の学校に教師を派遣する非営利事業「ティーチ・フォー・アメリカ」に参加した。

≪公益事業に人気≫

オバマ米大統領が若者に、世界に変革を起こそうと呼びかけ、リセッション(景気後退)で雇用機会が失われるなか、大学の新卒者は公益事業の分野に職を求めている。アマースト大では5月に同大を卒業して就職した学生のうち、少なくとも53%が教育機関か非営利団体、あるいは政府で働いている。

同大キャリアセンターのアリソン・ムーア所長は、マークス氏が学長に就任した2003年の43%に比べ増加傾向にあると述べた。

1万4225人を対象にした全米大学就職協議会(NACE)の調査によると、全米の大学4年生約160万人のうち27%が非営利団体や政府への就職を計画。08年の23%を上回った。一方、民間部門での就職を望む割合は39%と昨年の45%を下回った。

マークス学長は「よりよい世界を作るためにどう貢献するかという問題について、より高い興味や関心を持った世代が育ってきている。学生たちが『変革を起こしたい。行動しなければ何だか落ち着かない』と話すのを耳にする」と語った。

ミネソタ大のアンドリュー・フルコ准教授は、05年のハリケーン「カトリーナ」の被害やオバマ大統領の選挙戦などを通じて過去10年間で学生に行動主義が広がったと指摘する。「今の若い世代は社会貢献意識が高いか、そういう意識を持とうという機運が出ている」と述べた。

アマースト大は3月末時点で12億6000万ドル(約1200億円)の寄付金を集めている。マークス学長は、同大のように恵まれた卒業生たちこそ、特別な責任を果たさなければならないと述べる。同学長のメッセージは学生の共感を呼んだ。同大で「ティーチ・フォー・アメリカ」に応募した学生は05年以降218人に上り、最終的に48人が同事業に参加した。

≪仕事にどきどき≫

5月に同大を卒業し、「ティーチ・フォー・アメリカ」に参加しているアリソン・ムンツァーさん(21)は、同大では恵まれた境遇を生かして何かをしなければならないという理念が重視され、影響を受けたという。「採用通知を受け取ってすぐ、人生で最もきつい2年間が始まったんだと思った。私を信頼して子供の教育を任せてくれる人がいると考えると、どきどきした」と語った。

同じく卒業生のドリュー・ブラッカーさん(22)は連邦政府への就職が希望だ。ウォール街でインターンも務めたが、財務省金融教育局の業務を手伝ったことで考えが変わり、金融機関への就職は辞退。「まったく新しい世界が開けた。金融界での経験では、これほどの満足感は得られなかった」と述べた。

同大の生徒会長を務め、5月に卒業したニコラス・パスタンさん(22)も「ティーチ・フォー・アメリカ」に参加する。ニューヨーク市の学校で6年生と7年生を教える予定で、同地区担当者の平均給与は年4万5500ドルだ。「投資銀行に就職する友人がいて、報酬は最大15万ドルもらえるそうだ。私の給与の3倍以上だが、まったく気にならない」と話した。(Oliver Staley)

フランスでいま、日本アニメ・マンガがアツい理由を直撃!

2009年7月2日~5日の4日間にわたって、フランスはパリ・ノールヴィルパント展示会場において「ジャパンエキスポ 2009」(JAPAN EXPO)が開催された。今年で10周年を迎えるジャパンエキスポは、日本のアニメ、マンガ、ゲーム、ファッションから日本の伝統文化までを、広く扱うファン・イベントとして注目されている。

今回から5回の予定で、このジャパンエキスポの参加企業や来場者に行ったインタビューをお届けする。『オタクジャポニカ』の著者エチエンヌ・バラール氏の同行のもと、出版社や日本のマンガをフランスに広げたキーマン、パリ市内の関連企業への取材も含まれる。第1回は、同イベントの創設者であり、代表を務めるジャン=フランソワ・デュフール氏に、ジャパンエキスポとフランスでの日本文化についてうかがうお話である。

参加者は15万人!
日本ファンが欧州中から集う
デュフール氏
ジャパンエキスポを運営するSEFA EVENTの代表、ジャン=フランソワ・デュフール氏(Jean-Francois Dufour:1974年生まれ)。  撮影:H.Takashima

―― 初めて参加してみて、予想以上の熱気に驚いているのですが、ジャパンエキスポは、いまどのくらいの規模になっているのでしょうか?

ジャン=フランソワ・デュフール氏(以下デュフール) 今年、ジャパンエキスポは10周年を迎えますが、参加者は、4日間で15万人くらいになりそうです。また、出展者は500社で、昨年の380社から大きく伸びています。登録されたプレスは約1000人です。いままではフランス国内のイベントだったわけですが、今年は、ヨーロッパ中からお客さんがかなり来ているのが特徴です。国際的なイベントになってきました。

―― なぜそうなってきたのでしょう?

デュフール ジャパンエキスポが、他に類のないイベントだからではないでしょうか? 専用のホールを使った 16のコンサートがあります。日本からのアーティストも14組来ています。他にもファッションショーや、「CLAMP」のファンの集いがあったり、かなり大きなイベントもあれば、ミニステージもあります。ビデオの上映会も盛り上がっていますし、J-POP専用の部屋などもあります。また、プロフェッショナル向けに、日本の版権とのマッチングを行なうライセンシー・マーケットを始めました。
ジャパンエキスポ看板
会場近くに掲げられた看板には、「CLAMP」や「AKB48」の文字が躍る

―― 版権のマーケットには、日本からは何社くらい参加したのですか?

デュフール 今年のマーケットの登録者は450人で、マンガやアニメだけでなく、グッズやビデオゲームなどあらゆる分野の方々が参加しています。450人のうち、6割くらいは日本の会社で、大手出版社でいえば集英社などが参加しています。

―― ライセンシー・マーケットということだと、映画でいえばカンヌ国際映画祭みたいな感じを目指されるのでしょうか。

デュフール ジャパンエキスポを始める前にも、フランスでは日本のアニメやマンガ関係のイベントが行なわれていました。しかし、日本の文化そのものを、ジャンルを問わず扱うようなイベントはありませんでした。でも、わたしたちは、伝統的な部分も含め、日本のすべてを紹介したかったので、このイベントを始めたのです。そうした流れから、マーケットも出てきたといえますね。

―― ということは、最初から版権のマッチングをやるようなイベントに育てたいと考えていたのですか?

デュフール 正直に言うと、当初は考えていませんでした。もともと、ジャパンエキスポはファン同士で、ボランティア的な精神でやっていたものです。ところが、2002年にビデオ関係の仕事をやった際、日本の会社の人たちと話をしていて、そうしたニーズがあることを感じました。「フランスの消費者は、どんな作品が好きなんですか?」といったことをさかんに聞かれたわけです。日本の側から要望があったわけですね。そこで、パートナーの方々と話をして、版権のマーケットのようなものをやろうということになったわけです。

きかっけは『グレンダイザー』や
『コブラ』、『キャンディ・キャンディ』

―― フランスで、ここまで日本文化が受ける理由というのは何だとお考えですか?

デュフール いま、日本のマンガに出てくるサムライや忍者の話は、フランスの若者にかなり人気があります。古くからあるフランスのマンガ「バンド・デシネ」などには、若者に受ける作品があまりありません。なぜか、なかなか作れなかった。そんなところに、日本のマンガでアクション性の高いものが出てきました。

日本のマンガやアニメには、「友情」とか「成長」とか「努力」とか、いずれも自分もヒーローになるというポジティブ志向があります。また、日本のマンガやアニメはシナリオにしてもデザイン的なものにしてもグレードが高い。だから、受け入れられているのだと思います。

バンド・デシネは確かにフルカラーで美しいのですが、値段が高く、同じシリーズでも2~3年に1回しか出ないので、忘れられてしまいます。日本のマンガは、モノクロで200ページくらいのものが3ヵ月おきに出てきます。頻繁に出てきて、それが読者の生活のサイクルのなかにうまく入ってくるんです。そして、最終的には1000ページ以上に相当する十分な楽しみを得られ、そうした中で、主人公に共感できるようになります。それが、日本のマンガの人気の理由ではないでしょうか。

―― アメリカンコミックより、日本のマンガのほうが親和性が高いのですか?

デュフール アメコミと比較していえば、いま、フランスのバンド・デシネを含めたマンガ市場全体のうち、だいたい40%を日本のマンガが占めるまでになっています。アメコミをもとにした実写映画もヒットしていますが、映画ではそうでも、マンガに関してはそこまでの人気はないんです。やはり、フランスの若者に対するメッセージにはなっていない。ズレがあるのですね。

―― ご自身が、日本のマンガやアニメに興味をお持ちになったきっかけは?

デュフール わたしの世代は、『グレンダイザー』を見て育った世代なんです。画期的なアニメだったわけで、学校で、みんなで話題にしていたものです。その後は、『コブラ』や『キャンディ・キャンディ』などを見て、ファンとして目覚めていきました(1978~79年頃にかけて、フランスの公共放送にて放送された)。
コスプレ女性たち
会場の最寄り駅には、すでに気合いの入ったコスプレをした女性たちも多数

―― 当時から、日本のアニメの魅力というものを感じていたんですね。

デュフール 1988年に、日本アニメの第2波がやってきます。「クラブ・ドロテ」という番組が毎週日曜日にあって、そこで『ドラゴンボール』や『聖闘士星矢』、『北斗の拳』などが放送され、日本アニメに目覚めた世代もいるわけです。

わたし自身についていえば、もともとバンド・デシネが好きで、たくさん読んでいたのですが、テレビで放送されていたアニメが日本から来たものだと知ったときは、ものすごいショックを受けました。それはポジティブなショックで、それから『アキラ』や『ドラゴンボール』などのマンガもフランス国内で売られるようになり、それを読んで日本に対する興味がわいてきたのです。それから、『めぞん一刻』に日本の日常的な生活が描かれていることを面白いと感じ、惹かれるようになりました。マンガは、日本文化のひとつの窓のようなものではないでしょうか。

―― 日本に来られたことはありますか?

デュフール 1999年に初めて日本に行って、3週間くらいあちこちを周りました。そのときに、マンガだけとかアニメだけのイベントではもの足らないと思ったんです。パートナーと一緒に、やるのだったら伝統的文化も含め、いろいろ入れるべきだと思ったのです。

そして1999年に、初めてジャパンエキスポを開催しました。当時は2400人くらいしか来場者がなかった。それが、3年で4万人くらいになったのです。会場の規模もあり、これが限界かなぁと思っていたところに、ちょうどフランスで日本の人気がどんどん上がってきました。ジャパンエキスポは、それとともに成長してきたと言えます。わたし自身は、2002年に日本のアニメDVDを出す会社に勤め、2004年にはマンガ出版社を作るなどしていました。ですが、ジャパンエキスポで手一杯になったので、2007年にほかの事業は他人に譲り、ジャパンエキスポの開催を中心にやっています。

YOSHIKIを、AKB48を追って
日本からも観客がやってくる!

―― さきほど、フランス以外の国からも来場者が増えているということでしたが、どのくらいの人たちが国外から参加されているのですか?
パンフレット
来場者に配られるパンフレット。中央には大きく10周年の文字

デュフール 海外からの来場者が増えているというのは、2~3年前から実感していました。日本からのゲストの質が高くなってきて、ジャパンエキスポに来なければ、二度と見れないというようなことが起きてきたからです。フランスの一般の人たちだけでなく、ヨーロッパ中から日本のマンガやアニメのファンが来るようになりました。

4日間のイベントで、最初の入場券さえ買えば(注:4日間パスで33ユーロ=約4400円)、コンサートもすべて無料で見られます。商品を買う以外は、すべて無料で楽しめるというのも魅力なのではないでしょうか。2008年では、12%がフランス語圏外の来場者でした。

日本でも類のないイベントなので、日本からのお客さんも増えています。2007年にはYOSHIKIがやってきて、そのときには日本のファンたちがフランスまで大勢やってきました。ここじゃないと、YOSHIKIに会えないというわけです。今回も、CLAMPやAKB48が出ていますから、日本のファンにも見逃せないイベントになっています。その点では、ヨーロッパでも最先端に立っているのではないかと思います。

そうしたことを考えると、今後はフランスで人気のある日本のアーティストだけでなく、他のヨーロッパの国で人気のあるアーティストも呼んでいかなければならないと思っています。いまよりもさらに豪華なゲストを呼びたいですね。いまはマンガやアニメに偏っていますが、もっとファッションや音楽、ビデオゲームなど、まんべんなくバランスのとれた内容にしたいと思っています。たとえば、ゲームに関して、新作のゲームをフランス初とか世界初という形で披露したりとか、作家のサイン会を増やしたりなどですね。

―― ジャパンエキスポに課題があるとしたら何でしょうか?

デュフール ジャパンエキスポは、いまフランス国内のイベントではトップ10の規模に入ってしまいました。朝6時には、会場の入り口には参加者が並び始めます。オープンニングのときには2万人の人たちが並んで待っているわけです。そうした人たちに、どう安全に参加してもらうかというのは課題といえます。

それから、もうひとつ課題としてあげるとすれば、日本の関係企業とのコミュニケーションの問題があります。ビジネスのやり方の違いなどもあり、うまくコミュニケーションをとっていかなければならないと実感しています。

逞しき商魂!? 大学生らの「小中学生・夏休み宿題代行」―中国
2009/07/17(金)

中国では、小中高生が夏休みに突入したのを機に、インターネット掲示板などで「夏休みの宿題、代わりにします」などという、個人の出した広告が目立ち始めている。中国新聞社が17日付で伝えた。

広告では、「全問正解を保証します」などの売り言葉で、教科別の問題集1冊あたりの回答価格をはじめ、「全教科セット」などの「お得セット」も紹介。また、「作文代筆コース」もあり、400字ごとに値段設定を変えるなど、ユーザーの「多様なニーズ」に「きめ細かく」対応している。

「契約」によると、「顧客」の小中学生は、宅配便などのサービスを利用して前金30%と宿題を広告主に送付し、1週間後の納品時、直接自宅に届けにきた「広告主」に残りの70%の支払いをする、などと明示されており、本格的な「ビジネス」の様相を呈している。

広告主の1人は、自身が家庭教師を務める勉強嫌いの子どもから、「お金払うから宿題手伝って」と言われたのを機に「宿題代行業」を思いついたという。自身も含め、広告主のほとんどが大学生だが、中には高校生もいると見られ「みな、時間のたっぷりある夏休みを利用して、小遣い稼ぎする『いい機会』だと思っているのでは」などと語った。

別の広告主によると、現在は夏休みが始まってまもないため、「宿題代行業」はまだ需要も低いが、夏休み終了間際の「駆け込み利用」を見込んで、しばらくは様子を見るという。

一方の学校関係者は、「宿題代行業」の出現を、「生徒に試練を避けたり、怠け癖を覚えたりする心を植えつけてしまう」などと批判しており、生徒には自律を促すとともに、保護者、社会も子どもをしっかり監督すべきだと危機感を示した。(編集担当:金田知子)