このニュースにはちょっと目を疑ったよ。480万円という額が半端じゃない。ポスドクはそこまで企業から嫌われているということか。

一つ考えられるのは、受け入れる側が学生が希望するようなポストを用意できないということがあるかもしれない。

ドクターは研究職などにこだわるだろうが、企業はそんな人材の専門性を生かすだけの財政的時間的余裕がない。企業が期待する専門性はごく限られた分野であって、それ以外の遊休研究員を抱え込む余裕はいまやどこの企業にもないだろう。

社会からは見えにくい「高学歴ニート」の存在。480万円は果たして効果あるか。

ポスドク採用で480万円支給 文科省、企業の募集開始

大学や研究機関の「ポスドク」と呼ばれる任期付き博士研究者(ポストドクター)を採用した企業に、1人あたり480万円支給――。科学技術振興機構が29日、対象企業の募集を始めた。不安定な立場のポスドクの就職を促すための緊急措置だ。

文部科学省の事業で、研究職で最低1年間雇うことが応募の条件。ポスドク経験があって職に就いていない人も含め、全体で100人程度分の支給を見込んでいる。

企業側が出したポスドクの研究計画をもとに審査を行い、採用時点で480万円を支給。1年間だけの「使い捨て」にならないように、成果や雇用が継続されているかの確認もする。

文科省によると、ポスドクは06年度で1万6千人。大学や研究機関のポストは限られ、安定した職に就けない博士が増えている。35歳以上が約3割を占め、社会保険の未加入者も全体の4割に上る。

7割以上が企業への就職を希望するが、日本企業の新規採用は修士までが多く、採用状況は厳しい。企業で働くのは博士全体の2割以下で、米国の半分に満たない。

文科省は「採用はまだ少ないが、採用した企業の評価は高い。『食わず嫌い』解消の呼び水にしたい」としている。(行方史郎)